更年期不眠の原因は?症状の特徴や対策を解説
更年期不眠の原因は?症状の特徴や対策を解説
更年期の女性のなかには、夜なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も起きてしまったりして悩んでいる方がいるのではないでしょうか。実は更年期の女性の変化は、睡眠にも影響を与えることが分かっています。
この記事では、更年期に眠れなくなってしまう要因や、不眠症状を緩和する対策について解説します。不眠に悩んでいる更年期の女性は、ぜひ参考にしてくださいね。
更年期不眠の特徴
一般的に不眠は、パターンにより以下の4つに分類されます。
●入眠障害:ベッドに入ってもなかなか寝付けない
●中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
●早朝覚醒:起きたい時間の2時間以上前に目が覚めてしまい、再度眠れない
●熟眠障害:睡眠時間は十分にとれているのに、眠れた感じがしない
更年期になると、顔がほてって汗をかいたり、手足が冷えてしまったりといった体の症状が現れることがあります。また、人によっては不安やイライラ、気持ちの落ち込みといった精神的な症状が出ることもあるでしょう。
更年期世代は、子どもの受験や親の介護などがあるため、ライフスタイルが大きく変わる時期でもあります。仕事で重要な役割を任され、大きなプレッシャーがかかることもあるかもしれません。
年齢を重ねることによる体力の低下や体調の変化、ライフスタイルの変化によるストレスなどが、更年期の不眠を引き起こす要因になっているのです。
更年期不眠の原因は女性ホルモンの乱れ
更年期に起こる体や心の不調は、女性ホルモンの分泌量が低下することが大きな原因の一つです。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、体のさまざまな機能を調節する役割があります。しかし、更年期になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が大きく変化しながら徐々に減少していきます。
卵巣から分泌されるエストロゲンが減少すると、脳からはさらにエストロゲンを分泌するよう指令が送られます。脳からの指令は出ているのに卵巣からの応答がないことで、徐々にホルモンや自律神経のバランスが乱れてしまうのです。
自律神経のバランスが乱れると、血液が体全体に巡らなくなったり、精神的な不調が現れやすくなったりします。また血液の循環が乱れることで、顔のほてりや手足の冷えなどが起こり、精神面ではイライラや不安などを感じやすくなります。
女性ホルモンの分泌量が減少することによる自律神経の乱れが、更年期のさまざまな不調を引き起こしているということです。人によって不調の出方や程度には違いがあり、体調の変化により不眠を引き起こすことがあります。
更年期不眠の予防と対策
ここからは更年期の不眠に対して、簡単に行える対策を紹介します。
●適度に身体を動かす
●半身浴や湯たんぽで体を温める
●自分なりの入眠儀式をもつ
●大豆イソフラボンやゲニステインを摂取する
●不眠症の改善につながるサプリメントを服用する
適度に体を動かす
更年期に限らず、よく眠れるようにするためには、日中の適度な運動が大切です。日中に体を動かすと適度に疲れることから、睡眠の質が高まります。ウオーキングやジョギング、サイクリングなどの軽く息が弾む程度の運動がおすすめです。
また、年齢を重ねると体力が落ちるだけでなく、体内時計に乱れが出やすくなります。体内時計は朝に太陽の光を浴びることでリセットされるので、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びたり、軽く散歩をするのもよいでしょう。
半身浴や湯たんぽで体を温める
体が冷えているとなかなか入眠できないため、寝る前にはじっくりと体を温めましょう。体を温めることで心と体をリラックスさせられるほか、「足先が冷たくて眠れない」「寒さで夜中に目が覚めてしまう」といったことへの予防につながるからです。
体を温める方法としては、半身浴や湯たんぽの利用をおすすめします。湯たんぽは、昔ながらのお湯を入れるタイプや充電式、電子レンジでの加熱式など、いろいろな種類から選ぶとよいでしょう。
自分なりの入眠儀式をもつ
寝る前に、入眠儀式を設けると快眠できるようになる場合があります。入眠儀式としては、アロマテラピーや音楽鑑賞、読書などをおすすめします。
また自律訓練法も効果的です。自律訓練法とは、自分の体を意識しながら心を落ち着ける方法のことです。座った姿勢や寝た姿勢、立った姿勢でも行えます。入眠儀式に取り入れるなら、布団の中で行うとよいでしょう。
自律訓練法の手順は以下の通りです。
1.目を閉じて右手・左手・右足・左足の順に「重くなってきた」と意識する
2.心臓のゆっくりとした鼓動を意識する
3.深く呼吸をして、おなかが温まるのを意識する
4.そのまま眠りにつく
大豆イソフラボンやゲニステインを摂取する
大豆イソフラボンはフラボノイドの一種で、女性ホルモンであるエストロゲンと似た構造をもつのが特徴です。更年期に減少するエストロゲンの代わりとして働くことで、更年期の不調を改善することに役立つと考えられています。
大豆イソフラボンには複数の種類があり、なかでも大豆に多く含まれるゲニステインには、強いエストロゲン作用があることが知られています。更年期症状の不調を改善するうえで、とくに役立つのではないかと考えられているのです。
1日の摂取量の目安は25mg
ゲニステインを含むイソフラボンアグリコンの摂取量は、1日あたり最低25mgを目安にするとよいでしょう。日本人の女性を対象に行った研究で、1日25mgのイソフラボンアグリコンを8週間摂取した結果、抑うつや不眠などの更年期症状が改善したと報告されているからです。
ゲニステインは、大豆そのものだけでなく、大豆の加工食品にも含まれています。とくに味噌は、大豆の加工食品のなかでもゲニステインが豊富です。食品からゲニステインを取り入れたい場合は、味噌を活用するのがよいかもしれません。ただし、味噌には塩分が多いので、摂りすぎには注意が必要です。
不眠症の改善につながるサプリメントを服用する
更年期症状の緩和にアプローチするほか、不眠症の改善につながるサプリメントを服用する方法も有効です。不眠症の改善につながる成分には、GABAやグリシン、テアニンなどがあります。運動や寝る前のリラックスなどでも改善がみられない場合は、サプリメントを試してみるとよいでしょう。
眠れないときはベッドから離れてリラックスしてもいい
ベッドに入ってもなかなか眠れないと、「早く寝なければ」と焦ってしまうのではないでしょうか。しかし、気持ちが焦ると交感神経が興奮して緊張状態になり、余計に眠れなくなってしまいます。
実は睡眠は、量だけでなく質も重要です。短時間であってもぐっすり眠れた日は、朝にスッキリと起きられた経験がある方もいることでしょう。睡眠のリズムを整えることは大切ですが、寝る時間を決めて無理やり布団に入る必要はありません。眠れないときは一度起き上がり、体を温めたり心が落ち着く香りをかいだりと、リラックスしてみてください。
更年期不眠では生活の改善を意識しよう
更年期は女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、体調の変化が起こりやすくなります。体調が不安定な状態でも、できる限り質のよい睡眠をとるためには、メリハリのある生活習慣を身につけることが大切です。日中は体を動かして、夜はリラックスするように心がけましょう。
更年期の不眠症状は、人によって程度が異なります。セルフケアをしても不眠の症状が改善されない場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。ホルモン療法や漢方療法など、セルフケアにはない選択肢が見つかるかもしれません。
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