更年期に飲みたい春のハーブティーは?

セルフケア

更年期症状に悩む5人のヴィーナスが、専門家に更年期のより良い過ごし方をインタビューしている「お悩み解決隊」。今回登場するのは、いろいろな更年期症状に悩まされ、最近お疲れ気味のユミコです。ホリスティック メノポーズラボの山内さちこ先生に、ハーブティーで毎日をリフレッシュさせるコツを聞いてきました。

更年期の不調に優しく働きかけるハーブティー
春におすすめのハーブ、更年期女性におすすめのハーブとは
自分に合うハーブは五感で見つけよう
ハーブティーの美味しい飲み方とは
育てたハーブで生活をより豊かに
今まで頑張ってきた体に感謝して、ハーブで優しくいたわりましょう



更年期の不調に優しく働きかけるハーブティー

ユミコ 私はここ数年、更年期の不調のオンパレードで、自営業も忙しく、時間の余裕もありません。こんな私に、いいリフレッシュ法はないでしょうか。

山内先生(以下、山内) そんなときには生活にハーブを取り入れてみましょう。「なんだか今までの自分と違う、どうしたんだろう」と、更年期の不調で感じる違和感や不安にハーブの優しい香りが寄り添い、女性の心を癒やしてくれます。

ハーブには大きくわけて3つの効果があります。


1. 心身を鎮静させ、緊張をほぐしリラックスさせてくれる

2. 心と体をリフレッシュさせてくれ、活力を与えてくれる

3. 体内の毒素を排出させ、新陳代謝を促進させてくれる


これにより更年期女性の自律神経に良い影響を与えてくれるのです。また、ハーブのなかには女性ホルモンに似た働きを持つものがあり、心身のバランスを整える助けをしてくれることもありますよ。

ユミコ それは心強いですね。ハーブを生活に取り入れたら、私の不調も和らぐかしら。…でもこんなにバタバタしている毎日に、どうやって取り入れたらいいのでしょう。

山内 更年期は子育てに介護に仕事にと、なにかと忙しい年代。体の不定愁訴に加えて、ケアレスミスや集中力の欠如で自分に自信が持てなくなったと悩まれる方もいて、よくご相談を受けます。お湯を注ぐだけでハーブの香りを感じられる「ハーブティー」なら、気持ちをリフレッシュでき、ケアレスミスを防いだり、集中力を高められたりするかもしれません。

ユミコ ついつい飲んでしまうコーヒーをハーブティーに変えるだけで、心も体もリラックスできるなら、そちらのほうがいい気がします。



春におすすめのハーブ、更年期女性におすすめのハーブとは

ユミコ 先生、私はハーブに詳しくないので、おすすめのハーブを教えていただけますか。

山内 分かりました。ではせっかく新生活が始まる春ですし、この時期におすすめのハーブからご紹介しますね。レモンの香りがほのかにするハーブ、またスッキリとした香りのミントはいかがでしょう。気分がリフレッシュできますから、きっと新しいことに前向きにチャレンジしたくなると思います

【春におすすめのハーブ】

● レモンピール レモンの果皮を乾燥させたもの。食欲不振や疲れに効果が期待できます。

● レモングラス ストレスでこわばった筋肉をリラックスさせ、心身の疲れをリフレッシュ。


● レモンバーベナ 仕事に集中したいとき、気疲れをしたときに心身をリラックスできます。

● ペパーミント メントールの香りが気分をリフレッシュさせ、消化を促進してくれるとされています。


ユミコ レモンの香りを感じられるハーブって、こんなにあるんですね。どれも試したくなりました。

山内 更年期女性の方に合うといわれるハーブもありますよ。

【更年期女性におすすめのハーブ】

● バレリアン 不安やストレスを改善し、睡眠の質を高めてくれます。ストレスからくる不眠、肩こり、頭痛にも効果が期待できます。

 【!】鎮静効果が強いとされるので、車の運転前に飲むのは控えましょう

★ チェストベリー 閉経前のエストロゲンとのバランスを整えてくれるとされています。

 【!】後述の注意事項をご参照ください

● レモンバーム(別名メリッサ) レモンに似た香り。更年期に揺らぐ心を鎮静させたり高揚させたり、両面でサポートしてくれる頼もしいハーブ。

★ レッドクローバー エストロゲンと似た作用を持ち、更年期に起こる不定愁訴の改善や骨密度の減少を軽減する働きがあるとされる近年大注目のハーブです。

 【!】後述の注意事項をご参照ください

★ セージ エストロゲンに似た作用を持ち、特にのぼせ、発汗、ほてりを和らげる働きがあります。

 【!】後述の注意事項をご参照ください


● ピンクローズ 優雅な香りが女性に高揚感を与え、緊張をほぐしてホルモンバランスを整えてくれるとされています。

このうち、使用する方によっては要注意のハーブもあり、頭に★印をつけました。女性ホルモンに似た働きをするハーブだからこそ、気を付けなくてはいけません。


★印のハーブの利用を控えるか、医師と相談したほうがいい方》

★不妊治療で投薬を受けている方

★経口避妊薬を飲んでいる方

★ホルモン補充療法(HRT)の投与を受けている方

★更年期障害や婦人病の治療を目的に漢方薬を常飲されている方

★乳がん、子宮がんなど婦人科系の疾患で投薬もしくは治療を受けている方


また、ハーブは穏やかに作用しますが、すべての方の体調に合うわけではなく、花粉症などのアレルギーのある方や虚弱体質の方は副作用が起こらないとも限りません。体調に不安がある方は、購入前にお店のスタッフに相談し、必ずハーブの成分をご確認の上お飲みくださいね。婦人科以外に持病のある方も、ぜひ担当医師にご確認されてから飲まれると安心だと思いますよ。

なお、ハーブの薬理効果は科学的に解明されているものもありますが、やみくもに同じ種類のものばかりを常飲することも控えたほうがいいでしょう。いろいろな香りのハーブがありますから、ぜひ1つの種類にこだわらずトライしてみてください。

自分に合うハーブは五感で見つけよう

ユミコ 自分に合ったハーブを見つけるコツはあるのでしょうか。

山内 おすすめハーブ情報をお伝えしてきましたが、それ以上に最も大切にしていただきたいのは、「この香り、とっても好き!」というご自身のファーストインプレッションです。五感を活性化させて香りや味でハーブを探すと、きっとそのときご自身に必要なハーブは「これだ!」と見つかると思います。そのためにも、試飲できるお店に行って選ぶといいですよ。

ユミコ すでにブレンドされたハーブティーが売られていることもありますが、選ぶポイントはありますか?

山内 ブレンドされたハーブティーも、書かれている効果で選ばず、まずは香りや味わいをお店で試すのがいいですね。オーガニックハーブ専門店に行くと、目的に応じたブレンドが数種類用意されています。その際に自分がどんな目的のブレンドがほしいか、どんな味わいが好みかをお店の人に正確に伝えましょう。その上で数種類試飲させていただき、自分の好みにあったブレンドを選んでください。

もしホルモン補充療法などを受けている場合、また既往症のある場合は、摂るハーブによっては危険を伴いますので、専門家のいるハーブショップで相談を。その際には、治療中、また既往症があることを伝えて、お店のスタッフに安全なブレンド選びのサポートをしてもらいましょう。

また、「これが好き!」と思ってハーブティーを購入したものの、家に帰ってみるとなんだか飲みにくいと感じることもありますよね。その場合は、はちみつやレモンスライスなどを加えて飲みやすくするといいですよ。失敗も学びと受け止め、ハーブティーに親しんでください。

ユミコ 購入するときに注意が必要なハーブがあるのは、ハーブには健康をサポートする効果が期待できるからなんですね。ハーブティーを単なるお茶だと簡単に考えず、治療を受けている場合はお店の方に助言を求めようと思います。

ハーブティーの美味しい飲み方とは

ユミコ お店でお気に入りのハーブティーが見つかったら、美味しく飲みたいのですが、淹れ方、飲み方のポイントを教えてください!

山内 ハーブティーの魅力は味と香りと色です。それをじっくり楽しむために、耐熱ガラスのポットをご用意いただくといいですよ。お湯を注ぐとハーブの花や葉がガラスのポットで美しく開いていくのが見られます。その光景もとっても癒やされます。


【ハーブティーの淹れ方】

1.ポットに大さじ1杯ほどのハーブティーを入れます。このとき葉が大きなものはカットしたり手でもんだりして、大きさをそろえてください。

2.お湯を注いで約3分待てば出来上がりです。茶こしを使ってポットのハーブティーをお好みのティーカップに注ぎます。

3.まずはハーブティーの香りを楽しみ、その後じっくりと時間をかけて味を楽しみましょう。

ハーブの専門店には、ポットをわざわざ用意しなくても、1人でハーブティーを楽しめる茶こし付きのマグカップが置いてあることも。お気に入りのハーブティー用マグカップを持つのもきっと素敵ですよ。


ユミコ なんだか私が憧れる素敵なライフスタイルが実現できそうです…!先生、ハーブティーは毎日何杯でも飲んでいいのですか?

山内 1日の目安としてはティーカップ3~5杯ぐらいが適量です。朝の目覚めを快適にするもの、睡眠の質を良くするものなど、さまざまな効能のハーブティーがあります。食前、食後、就寝前…、飲むタイミングに合わせていろいろなハーブティーの種類を準備しておくといいと思います。ハーブの種類によっては利尿効果の高いものもありますので、就寝直前に飲むのは控えた方がいいでしょう。

育てたハーブで生活をより豊かに

ユミコ 先生、フレッシュハーブティーにも興味が出てきたので、ハーブを育ててみたいなと思ったんですが、ハーブを育てるのは難しいですか?

山内 今の時代、気軽にお花屋さんでハーブを買うことができますものね。クッキングにも活用できるバジルやローズマリー、ペパーミントなどは初心者でも育てられるハーブです。ハーブは基本的にたくましいので、水のやりすぎには気を付けること。小さな植木鉢から始めるといいですよ。

育てたハーブは、摘んでフレッシュハーブティーにして飲むのも、見た目からとても癒やされます。ガラスのポットに青々としたハーブを入れて、お湯を注ぐだけです。ミネラルウォーターにハーブを浮かべるのも涼やかでおすすめです。ぜひ気軽に植物の持つパワーを味わってみてください。

人によっては草っぽい味が苦手な方もいらっしゃいます。その場合は、ローズマリーやペパーミントをパパッと摘んで、オレンジやグレープフルーツのフレッシュジュースに加えてみてください。ハーブの持つ特性とフルーツジュースがうまく合って、大人好みのフレッシュジュースになります。

また、フレッシュハーブは細かく刻んでバターやクリームチーズと混ぜてパンにつけてもおいしくいただけます。

ユミコ バターやクリームチーズと混ぜるなんて、私には全くない発想でした。ハーブの持つ生命力を体に取り込めるような気がして、生活も私もパワーアップできそうです。

山内 ハーブはとっても奥が深いんですよ。ハーブ専門店に行くと、ハーブのサプリメントやチンキ(度数の高いアルコールでドライハーブを抽出したもの)が売られています。特にハーブチンキは紅茶や料理に入れたり、ハンドメイドのローションを作る際の材料にもなります。

また、自宅にあるドライハーブ、フレッシュハーブを使って、バスハーブとしての使用もおすすめです。ハーブをガーゼで包んで縛り、バスタブのなかに入れるだけです。忙しいときもハーブの香りのバスタイムで疲れをリフレッシュできれば、すっきりした気分で翌日を過ごせます。


今まで頑張ってきた体に感謝して、ハーブで優しくいたわりましょう

ユミコ 毎日忙しくて、不定愁訴もつらい。リラックスしたくてもいい方法が思いつかなかった私の心に、今回のハーブティーのお話はとても響きました。今からハーブを生活に取り入れたら、この先の人生は変わるでしょうか?

山内 更年期は、第2の人生のスタートです。人生100年時代ともいわれ、これからまさに人生の充実期に入っていきます。自然の恵みであるハーブを生活に取り入れれば、きっと心と体が輝き出し、笑顔あふれる人生を過ごせるようになると思います。

クッキング、ハウスキーピング、スキンケア、ボディーケア、バスタイムなど、生活のいろいろなシーンに積極的にハーブを取り入れてください。ハーブたちは、人生の終焉を迎える最後のときまで癒やし慰めてくれるはずですよ。

ユミコ 今日は先生とハーブのお話をしているだけで、なんだかとっても癒やされた私です。最後に更年期に悩む女性にメッセージをいただけますか。

山内 更年期に入り、体の不調を感じてネガティブに思うことがあるかもしれません。そんなときはぜひ、静かな場所で頭のてっぺんからつま先まで、自分の体のすべてに触れてみてください。それこそ50年近く休みなく働いてくれた体なのです。「今まで本当にありがとう」と言ってあげたいですよね。

そして、神様が女性にしか与えなかった子宮や卵巣…。初経から約40年、生理痛や月経前症候群(PMS)に悩まされたかもしれません。でも、おしゃれをしたり、恋をしたり、子どもを授かったりと幸せな時間を過ごせたのは、今まで頑張ってくれた子宮や卵巣のおかげなのです。

今、更年期症状でつらいかもしれませんが、女性ホルモンがその役目を終えようとしながらもまだ、脳下垂体の指令に忠実に答えようと頑張っています。そう思うと、「今まで体に無理させたなぁ、頑張りすぎたなぁ」…そんな気持ちになることと思います。自分の体に対して「今まで本当にお疲れさま」と思えたなら…、ここからの時間を、ハーブやアロマの力を借りながら丁寧に大切に過ごしてください。

「人生の充実期」といわれる55歳から75歳の20年間が素敵な時間になるように、更年期以降は心と体の声に耳を澄ませて、自分をいたわりながら慈しむ暮らし方をしていきましょう。

ユミコ 不定愁訴ばかりに気を取られて、自分の体に感謝することを忘れていました。これからはもっと自分を大切にして、いたわりながら過ごしていきたいと思います。先生、今日は本当にありがとうございました!


<この記事を監修いただいた先生>

山内 さちこ 先生
ナチュラルエイジングコーディネーター
詳しいプロフィールを見る

ユミコ
48歳。夫との2人暮らし。自営業をしながら、自分時間も楽しんでいる。2年半前から足のしびれや股関節の痛み、胃の不調を感じている。生理周期が短くなった影響で貧血や立ちくらみの症状があるほか、動悸や汗も頻発。冷え性もひどくなってきている。

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