更年期の髪の気になるボリューム、対処法は?
年齢とともに毛髪にハリがなくなり、ボリュームダウンしたペタンコ髪に悩む人が多い更年期世代。湿度の高い梅雨になると、より一層ヘアスタイルが決まらないのも更年期あるあるです。大人女子のお悩みを専門家にインタビューする「お悩み解決隊」。今回は抜け毛に悩むアイコが梅雨のペタンコ髪の対策について、原宿の美容室SAKURAのスパニスト・熊谷玲奈先生にお話を伺ってきました。
- 梅雨になると一層深刻!更年期世代の髪の悩み
- 髪の毛がペタンコになる4つの理由
- 更年期世代は正しいヘアケアでペタンコ髪を卒業!
- 髪の毛をボリュームアップさせるマッサージも取り入れて
- 忙しい更年期世代におすすめ!時短ヘアケア
- 更年期世代こそヘアスタイルに気を遣い、毎日をポジティブに!
梅雨になると一層深刻!更年期世代の髪の悩み
アイコ 先生、最近髪の毛がぺったりしてしまって、ヘアスタイルが上手く決まらなくて…。年齢が上がるとともに髪がふんわりしなくなった気がしますが、気のせいでしょうか?
熊谷先生(以下、熊谷) アイコさん、その感覚、間違っていませんよ。更年期世代の方からのお悩みは、ボリュームが出にくくなったというお声以外にも、髪が細くなった、癖が出やすくなった、ツヤがなくなった、ダメージが出やすくなったというお声がとても多いです。
更年期には、老化により血行不良が起きやすくなるとともに、女性ホルモンの低下でコラーゲンも減少し、肌の弾力が弱くなり、頭皮が乾燥しやすくなるのです。土台となる頭皮の状態にトラブルがあると、髪にも栄養が届きにくくなり、髪が細くなってしまったり、癖としてうねりが出やすくなったり。もちろんツヤも少なくなりがちです。
また、ボリュームについても頭皮の筋肉のコリや筋肉の弱まり、毛穴の汚れの詰まりが原因でボリュームダウンしてしまうケースが見受けられます。
アイコ 梅雨のシーズンは特にボリュームが出せなくて困っています。
熊谷 そうですね、梅雨には根元にボリュームが出ず、毛先はまとまりがなく広がってしまう方が多い気がします。梅雨の時期は汗や皮脂の分泌が増えやすく、湿度も高いので、ペッタリとした状態になり、髪の毛も癖が出やすくなってきます。特に根元付近が蒸れた状態が続くと、肌にいる常在菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えてしまいます。その結果、乾燥、ベタつき、かゆみ、においなどの肌トラブルが起きやすくなります。
癖のある髪や、老化のためにキューティクルの質も量も低下している髪の場合、髪の内部に湿気が入りやすいので、きちんとセットしたつもりでも、ヘアスタイルが崩れやすくなってしまうのです。
髪の毛がペタンコになる4つの理由
アイコ 若い世代のパート仲間にもペタンコ髪に悩んでいる人がいました。そもそも髪の毛ってどうしてペタンコになるのでしょう。
熊谷 髪のボリュームがなくなってペタンコになるのには、いくつかの理由が考えられます。若い世代にもペタンコ髪で悩んでいる方はいますが、ホルモンバランスの崩れる更年期世代になると、お悩みはより深くなると感じています。
①皮脂の過剰分泌
頭皮から出る皮脂の過剰分泌によって、髪が根元からボリュームダウンしてしまいます。ストレスやホルモンバランスの乱れ、シャンプーが合わないなど、さまざまな理由が考えられます。更年期に起こりがちなホットフラッシュも原因のひとつ。皮脂の分泌量が気になる場合は、洗浄力の高いシャンプーに切り替えてみるのも手です。
②頭皮の筋肉のコリや弱まり
前頭部、側頭部、後頭部と、頭の3カ所にある筋肉にコリがあると、頭頂部の筋膜が引っ張られて肌の厚みが薄くなり、毛根が浅くなって毛髪に栄養が届きにくくなります。その結果、弾力やコシのある髪が作られにくくなり、髪が細く抜けやすくなってしまいます。これが髪のボリュームダウンにつながるのです。
③毛穴の汚れ・詰まり
シャンプーが泡立っただけで洗えた感覚になってしまったり、洗い方の癖がついて隅々まで洗えていなかったりすると、皮脂や汚れが毛穴にたまります。その結果、毛穴が詰まり、ハリやコシがなくなり、髪がペタンコになりやすくなってしまいます。
皮脂は皮膚を保護するものとして必要ですが、24時間程経過すると酸化皮脂になり、シャンプーでは落としにくい汚れとなって、老化の原因にもつながりかねません。
④パーマ・カラー剤や紫外線によるダメージ
パーマやカラー剤、紫外線からのダメージなどからペタンコ髪になる場合もあります。白髪を頻繁に染めて、髪や頭皮にストレスがかかっていませんか。また、顔に比べて髪には3倍の紫外線が当たっているともいわれているので、ダメージを軽減するヘアケアを検討してもいいかもしれません。
更年期世代は正しいヘアケアでペタンコ髪を卒業!
アイコ 若い人でもペタンコに悩んでいるならなおのこと、私たち更年期世代は輪をかけてケアをしなければいけないですね。更年期世代がやってしまいがちな、間違ったヘアケア法があれば教えていただきたいです。
熊谷 気を付けていただきたいのはドライヤーの当て方でしょうか。ドライヤーを雑に当てて乾かしてしまうと、ヘアスタイルはペタンコになってしまいます。早く乾かしたいと考えてのことだと思いますが、髪をボリュームアップさせる乾かし方のほうが良いでしょう。
また、ドライヤーの前にアウトバストリートメントを付けるといいのですが、そのトリートメントでボリュームが抑えられてしまうのではないかと使用をためらう方がいます。重く感じそうなヘアオイル以外にも、いろいろな種類のアウトバストリートメントがあるので、ぜひ自分に合う商品を探してみてください。ドライヤーの熱から髪を守ってくれるので、髪にとってはプラスなのですよ。
●髪の毛をボリュームアップさせる乾かし方
髪をボリュームアップさせたい場合は、垂直もしくは逆方向へ根元を起こすように立ち上げながら乾かしていきます。特に分け目が気になる方は、分け目から左右逆方向へ髪を少し引っ張りながら根元を乾かしていくといいでしょう。
●髪の毛をボリュームダウンさせ、癖やうねりを抑える乾かし方
反対に髪をボリュームダウンさせたい場合、またうねりを抑えたい場合は、半乾きの状態からボリュームを落とすように下のほうに引っ張りながら乾かしていきます。冷風、温風と交互に変えながら乾かすと、毛量が多い方は乾かしやすいはずです。
髪に水分が残っていると癖が出やすいので、しっかり乾かすことが大切。最終的に仕上げとして冷風を全体に当てて、水分が残っていないか確認しながら乾かすのがポイントです。
●スタイリングのポイント
前髪や顔周りの癖が気になる方は、メイクにも少しだけ気を遣いましょう。額にパウダーをしっかりと付けて、額の汗や皮脂が髪に付着しないように対策を。
またトップのボリュームや髪全体の癖に関しては、ヘアオイルや、使用感の軽めなスタイリング用のキープスプレーを使用すると、髪の表面がガードされて崩れにくくなります。
梅雨の晴れ間には髪用の日焼け止めスプレーを使うと、紫外線対策になり髪の毛をダメージから守ることができます。
●更年期世代におすすめのケアアイテムの選び方
まず頭皮のケアとして、頭皮用の化粧水をドライヤーの前に使用してみてください。健康な髪の毛は健康な頭皮から生えてきます。シャンプーに良質な成分が含まれていたとしても、シャンプーの機能は洗うこと。シャンプーしかしていないのは、洗顔やクレンジングしてから化粧水を付けず放置しているのと同じことです。シャンプー後にしっかりと保湿をして頭皮の状態を整えてあげると、髪も丈夫に育つようになります。
また更年期世代の髪の悩みには、髪の内部補修ができるヘアマスクでケアをするのがおすすめです。ボリュームアップさせたければ、ハリやコシを出せるサラッと仕上がるタイプのヘアマスクを。うねりのケアなら、くせ毛用や少ししっとり仕上がるものを使ってみてください。
髪の毛をボリュームアップさせるマッサージも取り入れて
アイコ なるほど、ただ単に洗って乾かすだけではなく、頭皮の健康を考えたケアが必要なのですね。ほかに私にも簡単にできそうな、髪をボリュームアップさせるマッサージなどがあればぜひ教えてください。
熊谷 では更年期世代におすすめの頭皮のマッサージ法をご紹介しましょう。
①まずは頭の筋肉をほぐしていきます。頭の筋肉は、前頭部、側頭部、後頭部の3カ所にあり、トップは筋膜だけです。指の腹でマッサージしようとすると力が入れにくいので、指を曲げて末節部(爪と第一関節の間)を頭皮に当て、ゆっくりと回しながら筋肉を動かすようにマッサージします。
②トップの筋膜も筋肉とつながって突っ張りやすいので、ほぐしていきましょう。まずは片手の指を軽く曲げて関節で頭皮を刺激できるようにし、もう片方の手を上からかぶせて押しながら揺らすように動かします。
③毛穴1つ1つに立毛筋という筋肉があります。その筋肉を鍛えるために、髪を指の間に挟んで、3秒かけて引き上げ3秒かけて戻すように、満遍なく髪の根元から引っ張ります。頭皮を浮き上がらせるようなイメージです。
アイコ 指の関節をマッサージに使うなんて目からウロコでした!とても気持ちいいです。髪の根元を浮き上がらせるように引っ張るのも、いいリフレッシュにもなるなと感じました。
忙しい更年期世代におすすめ!時短ヘアケア
アイコ 先生、日々忙しくてなかなか時間がとれないことも多いのですが、ヘアケアやスタイリングの時短テクがあれば一緒に教えていただけないでしょうか?
熊谷 アイコさんはお子さんのお世話やお仕事でお忙しいのでしたね。ゆっくりした時間がとれない更年期世代の方は、ドライヤーの前にタンパク質を補うベタつかないクリーム系トリートメントを使うと、時短で髪をまとまりやすくすることができます。細毛でオイルトリートメントが苦手な方は、クリーム系のトリートメントを使うとハリが出てしっかりした仕上がりになります。
また、くせ毛やダメージが気になる方、髪が広がるような方は、クリーム系に加えてオイル系トリートメントを重ね付けするといいと思います。髪の内部と外部の補修をしながら乾かすと、きっと扱いやすい髪になりますよ。
更年期世代こそヘアスタイルに気を遣い、毎日をポジティブに!
アイコ どれも簡単に毎日に取り入れられそうなケアを教えていただけて参考になりました。最後に、私を含めた更年期世代の読者にメッセージをいただけますか?
熊谷 毎日忙しくて、ご自身のことを後回しにしてしまう方も多いことでしょう。でも、ヘアスタイルがいつもよりきれいに決まると、気持ちにいい影響が表れます。ヘアスタイルがうまくまとまれば、笑顔や普段のメイクの仕上がり、服装など、いろいろなことをポジティブに考えられるようになると思いますので、ぜひ少しでもヘアスタイルやヘアケアに目を向けてみてください。
髪の寿命は約6年といわれています。今回ご紹介したヘアケアを3カ月ほど継続すれば、根元付近の髪の状態が変わる実感が出てくると思います。日々の小さな積み重ねで、ケアを続ければきっと素敵なライフスタイルを過ごせますよ。
ただ、髪の毛の状態に合ったケアを探すのはとても大変なこと。まずは信頼できる美容師の方やスパニストにご相談ください。もちろん私でよければお伺いいたします。
いろいろな方法の中からご自身に合った方法を見つけられれば、少しずつ変わっていくと思うので、あまり焦らずに1度チャレンジしたヘアケアは3カ月程度継続して状態を見ながら判断してみてください。皆さんのお悩みが軽減していくといいなと願っています。
アイコ 先生、ありがとうございました。素敵なヘアスタイルがキープできれば、一日中幸せでいられますよね。頑張って3カ月持続して、自分に合ったヘアケアを見つけたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
<この記事を監修いただいた先生>
熊谷 玲奈 先生
美容室SAKURA スパニスト
▼詳しいプロフィールを見る
アイコ
43歳。夫と小学生~中学生の子ども3人の5人家族。子育てをしながらパート勤務をこなし、毎日忙しく過ごしている。2年前からホットフラッシュやイライラ、不安感、気分の落ち込みに悩む。最近では、物忘れや高血圧、白髪、抜け毛の症状も。