更年期のホットフラッシュでも崩れないメイク

セルフケア


更年期症状に悩む5人のヴィーナスが、その道のスペシャリストにインタビューする「お悩み解決隊」。今年も暑くなりそうな夏。ただでさえ汗ばむ季節に、ホットフラッシュが出たらさらにメイクが崩れてしまう!今回は48歳のユミコが「汗で崩れにくいメイクのコツ」を美容家の荻原陽子先生に伺います。



更年期のメイクの悩みはいろいろ。夏は特に紫外線に注意が必要!

ユミコ 先生、最近だんだんメイクに自信がなくなってきました。ベースメイクはすぐに崩れるし、ポイントメイクも乗りが悪く下手になってきたような…。更年期になると、肌にどんな変化が出てくるのでしょうか。

荻原先生(以下、荻原) ユミコさん、メイクの崩れって自分が一番気になりますよね。更年期になると、肌のハリや弾力をつかさどるコラーゲンとエラスチンの減少で、肌にハリがなくなって、小ジワが増え、たるみが出てしまうのです。原因はホルモンバランスや血のめぐりの変化によるもの。女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、血管がしなやかさを失い、血行が悪くなります。

私のところに寄せられる更年期世代の方からのお悩みもいろいろあります。例えば…

・ベースメイクが汗で崩れ、毛穴落ちしてしまう。

・シミを隠したいのにシワっぽくなってしまう。どんなふうに隠せばいいのかわからない。

・肌がたるんでしまい、ポイントメイク、特にアイラインがうまく引けない。

・アイシャドウがきれいに発色しない。

そして夏になると、さらにお悩みも増えます。

・紫外線によるダメージで、乾燥・シミ・シワが気になる。

・汗でファンデーションや日焼け止めがとれてしまう。

特に夏は、紫外線対策と保湿がとても大事になってきます。



更年期世代のメイク、ここに気を付けて!

ユミコ 更年期世代のみなさんが私と同じような悩みを持っているのがわかり、ちょっとホッとしました。…ここで疑問なのですが、今までと同じメイク法ではダメということなのでしょうか?

荻原 そうですよ、更年期世代になったら、メイクのやり方も変えていきましょう

気を付けてほしいのはスキンケアとベースメイクです。特にベースメイクは、隠し過ぎないこと。“足す”よりも“引く”ことを念頭に置きましょう。

●スキンケア

NG】汗をかくため化粧水をつけてから乾くまでしばらく待ち、次の美容液などの工程に進むのはダメ。せっかく施したスキンケアが乾いてしまうと、必要な水分が蒸発してしまって、その後のメイクの乗りが悪くなるのです。

OK化粧水が肌になじむまで、手のひらで肌に押し込むイメージでつけましょう。水分で指が滑らない状態が目安です。

●ベースメイク 

NG】年齢とともに目立ってきた「たるみ毛穴」を隠すようにファンデーションで埋めようとするのもNG。毛穴は厚塗りになるほど詰まって崩れやすくなります。

OK】シミを隠そうとコンシーラーをつけすぎたり、ファンデーションを重ね過ぎたりせず、自分の満足いく仕上がりの70%くらいで終わらせることがポイントです。

ユミコ うわ!NGの数々、身に覚えがあります!気を付けないといけないですね…。



暑さやホットフラッシュ…。汗でも崩れないメイクのポイントとは?

ユミコ あと、私は特に最近ホットフラッシュでのぼせて汗が出るので、メイク崩れが悩みなんです。この対策を教えていただきたいです。

荻原 なるほど…。ではホットフラッシュやのぼせる方に、メイクが崩れにくくなる方法をお伝えしますね。ちょっとした工夫できっとメイクも変わりますよ!


①毎日のスキンケアにひと工夫

スキンケアにはローションパックがおすすめです。汗が出やすい状態で普段通り手などで化粧水をつけてもなかなか入りづらくなるので、ローションパックで潤いを与えてあげると効果的ですよ。水分で潤った肌は毛穴が引き締まり、メイクも乗りが良くなって崩れにくくなります。パックは市販されているシートマスクでもいいですし、普段使っている化粧水をコットンにたっぷり含ませ、額、頬、鼻、あごに乗せてもOK。また、100円ショップにはローションが含まれていない使い捨てのフェイスマスクが売られています。このシートに普段の化粧水を含ませて顔に乗せても同様の効果が期待できます。

メイク中にものぼせてしまう場合は、保冷剤や冷却タオルなどで首を冷やしながらメイクを行ってください。

②ベースメイクにひと工夫

UVカットのサラッとタイプの下地をつけてから、軽くティッシュオフしてください。ファンデーションはリキッド、練り状、スティックタイプのものを肌に乗せ、きれいなスポンジでたたくようにして肌になじませます。いつもファンデーションを手でつけている方は、仕上げにはきれいなスポンジを使いましょう。

というのも更年期女性は汗をかきやすいので、スポンジに雑菌が繁殖しやすいのです。そのため、スポンジはいつも新しいものを。ドラッグストアや100円ショップで売っている使い捨てのメイクスポンジがおすすめです。

1回使用したスポンジを2回、3回と繰り返し使うのもやめましょう。汗と余分なファンデーションのついたスポンジでは、メイクの乗りも悪くなりますのでご注意を。

ベースメイクを仕上げたあとに、水を入れたスプレーや化粧水スプレーで水分を顔に吹きかけ、ティッシュで押さえるとさらに◎。そのときの水分量としてはスプレー2~3プッシュほど、流れ落ちない程度が目安です。

ファンデーションを塗るときはきれいなスポンジで。


③ポイントメイクにひと工夫

アイラインにはペンシルアイライナーを使い、その上からアイシャドウをつけましょう

ペンシルアイライナーはリキッドアイライナーより油分を多く含むため、上からアイシャドウを重ねたとき、密着度が増して崩れにくくなります。

リキッドアイライナーはダメではありませんが、汗で流れにくく、ハリのなくなったまぶたへのメイクのしやすさを考えると、ペンシルのほうがおすすめです。

崩れにくくするならペンシルライナーを選んで。


④メイク直しにひと工夫

まず水を入れたスプレーや化粧水スプレーでクールダウンティッシュで押さえてから、きれいなスポンジでよれを直します。その上からベースとパウダリーファンデーションをつけましょう。

よれてファンデーションが落ちてしまっているときには、プレストパウダーよりカバー力のあるパウダリーファンデーションでお直しするほうが、仕上がりがきれいです。


更年期のメイク崩れ、アイテムはどれを選べばいいの?

ユミコ メイク崩れをあきらめるのではなく、ちょっとした工夫で改善できることもあるんですね!更年期のメイク崩れに役立つアイテムの、選び方のコツがあれば、それもぜひお伺いしたいです。

荻原 わかりました!ではスキンケアからポイントメイクまで、アイテム選びのコツをお伝えしますのでぜひ参考にしてくださいね。

①スキンケア

化粧水はとろみのあるタイプよりサラッとしたものを選び、たっぷり使いましょう

②ファンデーション

朝使うファンデーションは、密着度や持ちが良いリキッドタイプや練り状、スティックタイプのものがおすすめ。パウダリーは手軽ですが汗で流れやすく、密着度や持ちが悪いので朝のベースメイクには向きません。パウダリーは日中のお直しのときに使いましょう。

仕上げ用のパウダーには、色がつかないルースタイプがおすすめです。色がつくパウダーだと厚ぼったくなりシワが目立ちやすいものが多いので、ファンデーションの色を邪魔しない、サラッとしたルースパウダーがいいですよ。

③ポイントメイク

チークは血色感やくすみを飛ばすためにぜひ使ってほしいアイテム。テクスチャーは練り状やリキッドタイプのものを選びましょう。パウダータイプより密着度が高いので持ちが良く、飲食でマスクを外すときもおすすめですよ。

チークがマスクにつくのが気になる方もいらっしゃるかと思いますが、リキッドチークやクリームチークで肌にのばした後サラッとするタイプのものはマスクにもつきにくいです。少量をたたき込むようにつけたり、うまくつけられない場合はスポンジでたたきながらつけてあげるとテクニックいらずです。

また、前述でポイントメイクにペンシルアイライナーをおすすめしましたが、眉用に落ちにくいペンシルアイブロウやリキッドアイブロウが出ています。眉毛の薄さが気になる方は、ぜひ試してみてください。

④メイク直し

小さな化粧水スプレーと新しいスポンジをメイク直し用に持ち歩きましょう。

⑤時短メイクアイテム

時短のためには、肌色を補正してくれる色つきの下地を使うといいですよ。色はピンク系がおすすめ。血色を良く見せてくれて、くすみを飛ばす効果が高いのです。ファンデーションもキレイにのばす必要がなく、スポンジでタッピングするだけとテクニックも不要です。

また、ポイントメイクにはリップとチーク、両方に使用できるアイテムを取り入れてみてください。色味に統一感が出て、メイクの時短につながります。


ユミコ なるほど、いろいろと気になるアイテムがありました。早速メイクアイテム探しの旅に出たくなりました!

汗によるメイク崩れ、予防のためのツボ押し&マッサージとは 

ユミコ ちなみに汗をかきがちなお肌のために、マッサージや生活習慣など、何か他に自分でできることはありますか?

荻原 それでは、ツボ刺激やマッサージ、入浴法をご紹介しましょう。

●三陰交のツボを刺激する 

足に三陰交というツボがあります。ここは汗を引かせるツボではないのですが、自律神経を整える意味で優しく押すといいでしょう。

三陰交のツボ

●朝の洗顔前にマッサージ 

朝の洗顔前に冷蔵庫に化粧水を入れておき、洗顔後少し冷えた状態の化粧水をつけて毛穴を引き締めます。

化粧水をつけるときに、耳下腺から首〜鎖骨にかけて上から下に一方向になでるようにマッサージしながらつけるとさらに効果的です。手のひらを首に密着させながら、下方向にスライドさせてください。

①耳下腺がマッサージのスタート位置です。
②耳下腺から首、鎖骨方向へ手のひらを動かしてマッサージ。


●毎日ゆっくりと入浴を 

ホットフラッシュなどの急な発汗やほてりは血流が大きく関わっています。自律神経を整え血行を良くするために毎日入浴を。39〜40℃の温度に20分ほどゆっくり浸かりましょう。

肌やメイクに気を遣って、更年期を明るく乗り切ろう

ユミコ 先生、今日いろいろお話を伺ってきて…、今まで私、何も対策しないで悩んでいたなと反省しました。年齢は巻き戻すことはできないけれど、鏡を見てがっくりしてばかりもいられませんね。

荻原 その通りです。年齢が上がるにつれて、鏡の中の自分の顔に落ち込むことがあると思いますが、そんなときは両頬を優しく手のひらで包み「毎日頑張ってるね」と声をかけてあげてください。鏡を見て今の自分にがっかりしてばかりだと、お肌にも表情にも疲れが出てきてしまいます。今日が一番若い日。今日が一番綺麗な日。今日は調子がいいな。そんな気持ちで鏡に向かいましょう。

そして大事なのはもうひとつ、メイクをするとき、必ず口角を上げてチークをつけること。朝のメイクタイムにむりやりでも笑顔をつくるのです。そして「今日も素敵」と自分を褒めてください。

ユミコ 若いときの自分と比べて落ち込んでばかりいないで、今の自分を大切に思うということですね!

荻原 肌やメイクに気を遣うことは自分自身を大切にすることと同じ意味。ご自身を丁寧に扱うことはメンタルにも大きく作用します。肌の調子が良いと触っていたくなりますし、メイクがうまくできると気分が上がりますよね。今のままでも十分頑張っていると自分を認め、肌に優しく触れていれば、きっと心も安定します

ユミコ 年齢とともにメイクが崩れやすくなって落ち込んでいましたが、先生のアドバイスを聞いていて、もうクヨクヨするのはやめようと思います。最後にメイクのお悩みを抱える更年期世代の女性にメッセージをお願いします!

荻原 今、行っているスキンケアやメイクの積み重ねが、みなさんの5年後、10年後の肌をつくります。「今日はいい感じ!」とご自分に丸をつけながら毎日を過ごせれば、更年期を抜けたときに、それまで行ってきた努力が結果として出てもっと人生を楽しめますよ

メイクが崩れるのはストレスですが、ちょっとした工夫や対策、心の持ちようで改善できることもあります。ご自身のライフスタイルに合わせて、使っていて心地よいアイテムをいろいろ試しながら、毎日のメイクが楽しくなるお気に入りを見つけてください。

ユミコ 今までのメイクを見直して、メイク崩れ対策に本腰を入れたいと思います!なんだか今年の夏を無事に乗り切れそうな気がしてきました。先生、今日は本当にありがとうございました。



<この記事を監修いただいた先生>

荻原 陽子 先生
美容家・メイクアドバイザー
詳しいプロフィールを見る

ユミコ
48歳。夫との2人暮らし。自営業をしながら、自分時間も楽しんでいる。2年半前から足のしびれや股関節の痛み、胃の不調を感じている。生理周期が短くなった影響で貧血や立ちくらみの症状があるほか、動悸や汗も頻発。冷え性もひどくなってきている。

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