更年期世代がむくみやすい理由は?むくみの原因と対処法をわかりやすく解説
「更年期になって、むくみやすいと感じるようになった」「むくみが起こる原因について知りたい」。むくみが気になる更年期世代の方は、このようなことに悩んでいるのではないでしょうか。
更年期にむくみが起こる原因は、ホルモンバランスの乱れや運動不足、加齢などによるものだとされています。本記事では、更年期世代がむくみやすい理由や、簡単にできる対処法について解説しています。更年期のむくみに関するよくある質問についても回答しているため、症状を改善する際の参考にしてください。
むくみが起こる原因
むくみが起こる原因はさまざまなものがありますが、女性ホルモンのバランスの変化により、血流をコントロールしている自律神経が乱れ、血液やリンパ液の流れが悪くなり、体液が貯留することでむくみが起こります。他にも運動不足や加齢による筋力の低下や、日々のストレスによる血流の低下も、むくみが起こる原因となるのです。
セルフチェックでむくみの有無を確認しよう
むくみを放置すると、体がだるくなったり皮膚がたるんだりしてきます。場合によっては、静脈瘤になる場合もあるため、むくみの有無を早めに確認しておきたいところです。自分では気づきにくい部分のむくみを確認したい場合は、セルフチェックリストを活用するとよいでしょう。
むくみがわかるセルフチェックリストは以下のとおりです。
●靴が履きにくい
●寝起きに顔がパンパンに腫れている
●指輪が抜けない
●靴下のあとがくっきりとつく
●足のすねを押しても、へこみがすぐに戻ってこない
●急に体重が増えた
更年期世代がむくみやすい理由とは
更年期世代がむくみやすい主な理由は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することで、自律神経バランスが乱れることであると考えられています。また、運動不足やタンパク質不足、体脂肪の増加なども要因です。
40〜50代の更年期世代は、仕事や子育て、親の介護などが重なり、ストレスを感じやすい時期。ストレスにより食習慣が乱れやすくなると、血糖値が乱高下してタンパク質の分解が進み、タンパク質が不足します。タンパク質が減ると筋肉量や代謝酵素も減るため、負のループに入りやすくなってしまうのです。
加齢とともに消化や代謝も衰えていくため、日頃から運動を行い、タンパク質を中心に栄養を意識して摂取するようにしましょう。
簡単にできる更年期のむくみ対処法
簡単にできる更年期のむくみ対処法には、以下のようなものがあります。
●運動不足を解消すること
●冷え対策を行うこと
●血のめぐりを良くすること
●バランスの良い食事を心がけること
●漢方薬を摂取すること
●サプリメントを摂取すること
運動習慣を取り入れること
むくみを予防するためには、運動習慣を取り入れるようにしましょう。運動習慣がないと加齢により筋肉量が減少していくため、むくみが出やすくなるためです。
運動を行う場合は、お尻から太もも、ふくらはぎまでの大きな筋肉を動かすようにするとよいでしょう。ふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」といわれており、意識して動かすことで脚の血流が改善され、むくみにくくなります。運動を取り入れる場合は、生活のスキマ時間で散歩するほか、スクワットなどの下半身運動を行うことをおすすめします。
冷え対策を行うこと
冷えとむくみの原因は重なっているため、冷え性を解消するセルフケアはむくみの改善につながります。冷え対策を行う場合は、手足や腰を冷やさないようにするほか、肩甲骨を温めたり筋肉運動を行ったりして、発熱力がある褐色脂肪細胞を活性化させるとよいでしょう。
脂肪細胞には、脂肪を蓄える白色脂肪細胞(いわゆる体脂肪)と、脂肪を燃やす褐色脂肪細胞の2つがあります。褐色脂肪細胞は主に首や背中にあるため、ここを刺激して脂肪を燃やすことで、発熱を促進させることができます。
血のめぐりを良くすること
血のめぐりを良くすることで体液の滞留が解消されるため、むくみの改善につながります。血のめぐりを良くするためには、マッサージやツボ押しが効果的です。血行をよくするツボ(足三里や三陰交など)を押したり、耳から首、鎖骨にかけてリンパマッサージを行ったりすることで、心臓に向かってリンパ液と血液が流れやすくなります。
また入浴法を意識する方法も有効です。ゆっくりと温めた体に寒冷刺激を与えることで、細胞のなかのミトコンドリアが活性化するため、血行の改善につながります。
入浴する際は、38〜40度のぬるま湯に15分ほどゆっくり浸かり、水シャワーを浴びて寒冷刺激を与えるとよいでしょう。脚や手だけ冷たいシャワーを浴びても、血行改善の効果が期待できます。ただし水シャワーを行う際は、無理せずできる範囲で行ってください。特に冬場は急激に体温が低下すると危険なため、注意しましょう。
また、更年期には入浴剤のなかでも保温効果が高いマグネシウム入浴剤がおすすめです。マグネシウムは血管を広げる働きがあります。マグネシウム不足の女性も多いので、入浴を通して体内にマグネシウムを補給できれば、細胞機能が正常化し、代謝アップにも役立つといいことずくめ。更年期女性のアンチエイジングにも良いですよ。
バランスの良い食事を心がけること
むくみを予防するためには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。塩分を摂りすぎたり、摂取すべき栄養素が不足していたりすると、むくみや肥満の原因になるからです。
日々の食事では、大豆食品や魚介類などからタンパク質、野菜や雑穀などからミネラルの摂取を意識するようにしましょう。また更年期は汗をかきやすく水分が不足しがちなため、こまめな水分補給もおすすめします。
サプリメントを摂取すること
日々の食事による栄養の摂取が難しい場合は、サプリメントで補うとよいでしょう。更年期のむくみを予防・改善する目的で栄養を摂取する場合は、タンパク質やビタミン・ミネラル、大豆イソフラボンなどが有効です。サプリメントを使用する場合は、日々の食事で足りない成分を補うことを目的として、適度な摂取を心がけましょう。
漢方薬を摂取すること
漢方薬は、むくみや更年期症状の治療にも有効とされています。むくみとは、「水(すい)」が停滞した状態のことで、むくみを取るのは漢方的には利水剤(尿より余分な水を排泄させる薬)を用い、茯苓・蒼朮・白朮・沢瀉・猪苓などの生薬を含むものが処方されます。
症状や体質に合わせて以下のような漢方薬が処方されています。
処方される漢方薬 | 効果的な症状 |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | むくみ、手足の冷え、めまいなど |
五苓散(ごれいさん) | むくみ、頭痛、二日酔いなど |
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) | めまい、ふらつき、のぼせ、動悸など |
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) | むくみ、多汗症、肥満症など |
むくみが一向に改善しない場合は医療機関へ
セルフケアを行ってもむくみが一向に改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。むくみだと思って放置していると、背後に隠れた別の病気が発覚することもあるからです。隠れ貧血や甲状腺機能低下症、膠原病などは、更年期世代の女性に多い病気であり、自覚が難しい症状のため、おかしいと思ったら医師へ相談するようにしましょう。
更年期のむくみに関するよくある質問
ここからは更年期のむくみに関するよくある質問へ回答していきます。
むくみを取るにはどうすればいいですか?
運動不足を解消して、冷え対策を行うことが大切です。また栄養不足もむくみの原因となるため、タンパク質やミネラルを補うことも意識するとよいでしょう。タンパク質は大豆食品や魚介類、ミネラルは野菜や海藻、雑穀などから摂取できます。
更年期の足のむくみを解消するにはどうすればいいですか?
日々の生活に運動を取り入れて、下半身の筋肉をつけるとよいでしょう。スキマ時間を使ってウォーキングを行うほか、意識して階段を使うことをおすすめします。また家事や立ち仕事の際には、着圧ストッキングを身につけて、脚の血行を促進する方法も有効です。
セルフケアでむくみを解消しよう
むくみは、女性ホルモンのバランスや生活習慣が乱れることにより起こります。足のむくみは自身でも確認できますが、顔や指などのむくみは自覚が難しいため、セルフチェックリストなどを活用してむくみの有無を確認してみましょう。
また本記事では、簡単にできるむくみの対処方法についても解説してきました。運動やバランスの良い食事を意識して生活のなかに取り入れることで、むくみの解消につながります。ただし更年期は、さまざまな症状が現れる年代でもあるため、セルフケアを行っても一向に症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。