更年期のサプリメントにはどんな種類がある?おすすめの成分も紹介!

セルフケア

イライラやほてり、やる気が出ないなど、更年期の症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか?この記事では、更年期障害向けのサプリメントにはどんな種類のものがあるかを解説します。また、根本的に更年期症状を改善したい方におすすめの成分を4つ紹介しています。効果のあるサプリメントを選ぶための参考にしてください。



そもそも「更年期障害」とは?

更年期とは、閉経前後のそれぞれ5年、あわせて10年間ほどのことをいいます。女性が閉経する平均年齢は約50歳といわれているため、およそ40代後半から50代前半の期間になります。

この時期は女性ホルモンが大きくゆらぎながら減少することによって、のぼせや疲れやすさ、肩こり、関節痛、イライラ、やる気が出ない、不安など、心身にさまざまな不調が起こりやすくなります。これを「更年期症状」といい、なかでも症状が重く日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。更年期に入ると、7~8割の女性に何らかの症状が表れるといわれ、その種類や強さ、期間には個人差があります。更年期女性が抱えがちな仕事や家庭などでのストレスや心配事によっても、症状は強くなることがあります。



更年期に食事が大切な理由は?

心身にさまざまな不調が起こりやすい更年期。その不調は栄養の偏りが原因で起こることもあるため、まずはバランスの良い食事で体調を整えることが大切です。

様々な食品から5大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)を毎日摂るよう心掛け、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上摂るようにしましょう。というのも、栄養素はそれぞれに役割を持っており、複数の栄養素が助け合って働きます。1つの栄養素だけが働いても、うまく力を発揮することができないのです。

さらに、3食を決まった時間に摂ることも大切。一定の時間に食べることは、1日の活動のリズムを生み出す体内時計をリセットし、生活にメリハリを持たせる役割があります。

また、更年期には女性ホルモンと似た働きをする成分「大豆イソフラボン 」を含む大豆製品も積極的に取り入れてみてください。大豆には5大栄養素が豊富に含まれている上、機能成分として、抗酸化作用を持つ「大豆サポニン」、細胞の構成に欠かせない「大豆レシチン」、善玉菌のエサとなる「オリゴ糖」など、健康を支える成分がたっぷり。大豆たんぱく質にはコレステロール低下作用もあるため、生活習慣病(脂質異常症、糖尿病、高血圧)や骨粗しょう症のリスクが高まる更年期以降の女性にもおすすめです。

とはいえ、忙しい更年期にバランスの良い食事を毎日摂り続けるのは至難の業。食事で不足しがちな成分や意識して摂りたい成分は、サプリメントを活用して補うとよいでしょう。



更年期向けサプリメントの成分にはどんな種類がある?

更年期におすすめしたい成分は、大豆イソフラボンの他にも、エクオール、ブドウ種子ポリフェノールなどいくつかありますが、一般に出回っている食品に含まれているものもあれば、含まれていないものもあります。また、成分が含まれていても、他成分も同時に摂取することによって過剰摂取の懸念がある場合もあります。

その点、サプリメントは摂りたい成分だけを摂取できるのが大きなメリット。料理をしなくても、錠剤やカプセルなどから手軽に摂取できるといった利点もあります。旅行などの外出時にも携帯できますので、継続的な摂取をする場合にはやはりサプリメントがおすすめです。 ただし、サプリメントの成分のなかにも科学的に更年期症状の改善効果があるといわれているものと、科学的にはその効果が認められていないものの健康維持の面でおすすめの成分などがありますので、これからご紹介しましょう。


科学的に更年期改善効果が見込めるサプリメントの成分

●大豆イソフラボン

更年期女性が意識して摂りたい成分の筆頭は「大豆イソフラボン」。大豆をはじめとするマメ科植物に含まれ、女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをします。更年期にはエストロゲンの分泌量が低下し、不安定になりますが、イソフラボンはこのエストロゲンの作用を補って、様々な更年期症状を緩和してくれます。日本産科婦人科学会が定める『産科婦人科ガイドライン婦人科外来編』でも、代表的な更年期症状であるほてり(ホットフラッシュ)に大豆イソフラボンを用いることが推奨されています。

大豆イソフラボンが含まれる代表的な食材は大豆。大豆を使用して製造される豆腐、納豆、豆乳、味噌などの大豆食品にもイソフラボンは多く含まれています。この大豆イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」の2種類があり、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品に含まれているのはグリコシド型、味噌や醤油などの発酵食品に含まれているのはアグリコン型です。アグリコン型は腸内細菌の酵素の働きでイソフラボンから糖が切り離されていて、体内に吸収されやすいため、サプリメントを選ぶ際はアグリコン型のものを選ぶとよいでしょう。

さらに、アグリコン型にはゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインという3種類があり、女性ホルモンに似た作用はゲニステインが最も強く、その次にダイゼイン、グリシテインと続きます。更年期症状の改善効果を期待するなら、特にゲニステインに注目してみてください。

大豆イソフラボンは天然由来の成分ですが、過剰に摂取すると体に悪影響が生じる恐れがあります。一般の食品から摂取する大豆イソフラボンアグリコンの1日の摂取上限量は75㎎。一方、サプリメントから摂取する大豆イソフラボンアグリコンの1日の摂取上限量は30㎎となっています。一時的に摂取量がオーバーすることは問題ありませんが、継続的に摂取する場合には、上限値に配慮しながら摂取するように心がけましょう。

●S-エクオール

「S-エクオール」とは、大豆イソフラボンの一つであるダイゼインの腸内細菌代謝産物。一般の食材で含まれているものはなく、イソフラボンを乳酸菌などの微生物で発酵させた後に抽出した素材をサプリメントなどに配合しているケースがほとんどです。

S-エクオールはイソフラボン骨格を持たないものの、女性ホルモンに似た働きをするので更年期女性には有効とされています。エストロゲンの作用を補って様々な更年期症状を緩和してくれるため、先にご紹介した『産科婦人科ガイドライン婦人科外来編』でも、ホットフラッシュを含む更年期症状を改善する報告があることが記載されています。

摂取上限値などは設けられていませんが、大豆イソフラボンと同じようにエストロゲンに似た作用がありますので、過剰摂取には注意する必要があります。


大豆イソフラボン



●ブタ胎盤抽出物

「ブタ胎盤抽出物」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、豚の胎盤から抽出されたエキスで、「プラセンタ」とも呼ばれます。『産科婦人科ガイドライン婦人科外来編』でも、ホットフラッシュを含む更年期症状を改善する報告があることが記載されています。一般的な食材には含まれていないため、サプリメントなどから摂取します。

●ブドウ種子ポリフェノール

ブドウ種子に含まれるポリフェノールは、その大部分が「プロアントシアニジン」と呼ばれる成分で、ブドウやそれを原料として生産する赤ワインに多く含まれています。プロアントシアニジンは、お茶に多く含まれるカテキンが2個以上結合した成分で、強力な抗酸化作用があることが知られています。

更年期以降、つまり中高年以降になると体内の抗酸化力が低下します。ブドウ種子ポリフェノールの強い抗酸化作用は体内でも発揮されるため、更年期以降に体内の抗酸化力を補うためにこの成分を摂取することは非常に効果的です。また、ホットフラッシュを含む更年期症状を緩和する効果があることが臨床試験で確認されており、『産科婦人科ガイドライン婦人科外来編』でもこの成分を摂取することが推奨されています。さらに、動脈硬化の予防や、ガン発生の原因となるDNAの酸化的損傷の抑制など、様々な健康維持に作用すると考えられています。

ブドウ種子ポリフェノールは摂取上限量も設定されていませんので、安心して摂取できます。ただし、赤ワインにはアルコールが含まれるため、過剰摂取には気を付けたいもの。サプリメントなら手軽に効率よくブドウ種子ポリフェノールを摂取できます。

※日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023』 p191

ブドウ種子ポリフェノール(プロアントシアニジン)のイメージ



科学的に更年期改善効果は出ていないものの、健康維持の面でおすすめのサプリメントの成分

ローヤルゼリー

「ローヤルゼリー」とは、働きバチが花粉やはちみつを食べて分泌したもの。一般に出回る食材には含まれておらず、はちみつとも異なる成分です。

ローヤルゼリーには必須アミノ酸、ビタミン・ミネラル類など、様々な栄養素が含まれます。特有の成分として「10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸」などが知られていますが、ヒトにおけるこれらの働きについては不明な点が多く、有効性やメカニズムについて世界中で研究が進められています。

ブラックコホシュ

「ブラックコホシュ」はキンポウゲ科の植物で、トリテルペン配糖体、イソフラボン、タンニンなどの成分が含まれます。

海外では医薬品や食品として販売されていますが、厚生労働省からブラックコホシュの利用に関する注意喚起が発信されている成分なので、摂取には注意が必要です。

ザクロ

ザクロにはビタミン類、アミノ酸、ポリフェノールが含まれていることが報告されています。女性ホルモンであるエストロゲンが含有されているという報告もあるようですが、全く検出されないという報告もあり、詳細は不明です。



更年期を改善するなら、ゲニステイン入りのサプリメントがおすすめ

ゲニステインはイソフラボン骨格を持つ吸収性の高いアグリコン型の成分。大豆イソフラボンのなかでエストロゲンに似た作用が最も高く、抗酸化活性も最も強いことが報告されています。そのためホットフラッシュを含む更年期症状の緩和効果、骨粗しょう症の予防効果、乳がんの発症抑制効果などが期待されます。

ゲニステインは味噌などの大豆発酵食品に含まれ、日本人も長く食している安心できる成分です。また、同じエストロゲン作用を示すエクオールと比較して、ゲニステインのほうがエストロゲン受容体に対する結合力が高いという研究結果もあります。



更年期改善のサプリメントを摂取する際の注意点

サプリメントを摂取する際の注意点としては3つあり、確認しないと効果が感じられなかったり、過剰摂取することで健康被害につながる危険性もあるため、注意が必要です。

海外製品の成分に注意する

海外で製造されたサプリメントには、日本と海外との法律の違いもあり、日本国内で食品として承認されていない成分が含まれているケースがあります。また、1日あたりの成分摂取量が非常に多く配合されている成分もあり、過剰摂取の危険性があります。注意しましょう。

■大量に摂取せず適量を

医薬品と同様ですが、サプリメントは大量に摂取したからといって効果が表れやすいものではありません。大量に摂取した場合、人体に及ぼす影響(安全性)に気を付けなければいけません。1日の推奨摂取量を守って利用しましょう。

■学会(ガイドライン)などで推奨されている成分を選択する

その領域に精通する専門医によって構成される学会で作成される診療ガイドラインなどは、作成にあたって委員会が設置され、内容を厳しく精査されます。その上でガイドラインに掲載(紹介)される成分は、ある意味、専門医からのお墨付きを得たもの。女性更年期領域では、既に紹介した大豆イソフラボン、S-エクオール、ブタ胎盤抽出物(プラセンタ)、ブドウ種子ポリフェノールなどは安心して利用できる成分です。



まとめ

更年期の不調を緩和するには、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を送ることが何より大切です。さらに、意識して摂りたい栄養を補うために、科学的に効果が認められた成分を効率よく摂れるサプリメントで上手に補うのがおすすめです。大豆イソフラボン、そのなかでも特に女性ホルモン様作用が最も高いゲニステイン、ブドウ種子ポリフェノールなどを積極的に摂りましょう。

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