今日から始めたい!更年期の薄毛に効くヘアスタイル&ヘアケア術

セルフケア
大人女子が突撃取材!お悩み解決隊


更年期世代の代表であるヴィーナスたちが、専門家に悩みを相談する「お悩み解決隊」。今回は40代のアイコが、薄毛の悩みを引っ提げて、原宿の美容室「SAKURA」のスパニスト・熊谷玲奈先生のもとを訪ねました。年とともに分け目の地肌が目立つようになり、髪も細くなった気がするというアイコが、ヘアスタイルや自宅でのヘアケア法をばっちり聞いてきましたよ。



更年期になると薄毛が気になりだすのはなぜ?

熊谷先生(以下、熊谷) 確かに、「分け目が目立ちやすくなった」「全体のボリュームが減った」というお悩みを、更年期のお客様からはよく聞きます。更年期の女性ホルモン低下や冷えなどによって代謝が落ちて血行不良になってしまうことや加齢による代謝低下が、薄毛の主な原因です。

女性は更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減ると、髪が生えて抜け落ちるまでの“毛周期”が乱れてきます。その状態が続くと、髪のハリやコシがなくなったり、髪が細くなり抜けやすくなります生活習慣の乱れ(栄養の偏り、睡眠の質、運動不足)・過度のストレスも、自律神経のバランスに影響を及ぼし、薄毛の原因になりうるんですよ。

睡眠時やリラックスしているときは副交感神経が優位になっている状態。副交感神経が働くことで、すみずみまで血液がいきわたりやすくなったり、免疫の働きが良くなったりするのですが、例えば就寝前にスマートフォンを見ると交感神経が優位になり、血流が悪くなってしまうと、髪の健康にも良くありません。

更年期は、薄毛だけでなく、髪が細くなったりツヤがなくなったりしやすい時期なので、ヘアスタイルのバランスがとりにくくなります。老けた感じや、身だしなみが整っていない印象を与えやすくなってしまうので、年齢に合ったヘアケアを心がけ、ぜひ積極的に対策していきましょう。


自宅でできる、薄毛のためのヘアケアやヘアアレンジをチェックする



サロンでオーダー!薄毛が目立たないヘアスタイル

熊谷 髪の長さにこだわりがなければ、短めのヘアスタイルがいいと思います。なぜなら、髪が短いと、髪自体の重みがなくなる分、トップのボリュームが出やすくなるから。

あとは好みにもよりますが、全体的にレイヤーを入れてトップの表面が短めになれば、ふんわりとした仕上がりになります。トップだけ少し短めにしてボリュームを出すのも一つの手。まずは美容師さんにお悩みを相談するところから始めましょう。

更年期世代のお客様からよく聞かれる質問を以下にまとめてみましたので、ぜひチェックしてみてください。


Q. カウンセリングで、美容師さんに何を伝えればいいの?

どの部分の薄毛に悩んでいるのかを美容師さんに伝えてください。人によって薄毛の状態は違うので、単に“薄毛で悩んでいる”というだけでは、その人の悩みが解決できるヘアスタイルが提案しにくいんです。
短いスタイル、長いスタイル、どちらにしたいのか、また必要に応じてパーマをかけたいかも伝えてみるといいと思います。


Q. パーマをかければ、薄毛はカバーできるの?

全体的にカールの強いパーマをかけたり、頭頂部の根元のみにパーマをかけたりすると、ボリュームが出て薄毛をカバーすることができます。施術の際、頭皮へのダメージが気になる場合は、保護剤を塗布してもらいましょう。



Q. カラーで薄毛は目立たなくさせることができるの?

おしゃれ染めの場合、分け目など頭皮が見えて気になる部分は、透明感のある明るめのカラー、例えば分け目や肌の色と近いようなベージュ系の色味を選べば、肌になじんで目立ちにくくなります
ほかには、髪の毛自体の色素が抜けた状態でヘアカラーの色味を入れるブリーチをしたり、ブリーチなしのWカラー(2回染めること)で、髪の赤みや色素を抜いた透明感のあるカラーを使うと、柔らかさが出て肌になじむので分け目が気になりにくいです。
ただ、色を明るくする分ダメージがあるため、施術前に頭皮の保護をしっかりとしてもらったり、カラー剤にトリートメントを混ぜてダメージを軽減させてもらったりすると良いでしょう。



Q. パーマやカラーは、髪にダメージはないの?

もちろん薬剤を使うので、髪にダメージはあります。特に更年期は髪自体が細くなり、ダメージを受けやすい状態。若いときより、比較的ダメージが気になりやすいでしょう。
また頭皮にも負担をかけてしまうので、今後の髪のためにもパーマやカラーは回数を控えるか、頭皮に負担がかからないように保護剤を使用してもらうのがおすすめです。
まずは自分のなかで、どの程度のダメージなら許容範囲内なのかはっきりさせておきましょう。いい仕上がりを期待して施術してもらうわけですし、そのヘアスタイルにするメリット、デメリットを確認して納得した上で行ってもらうといいと思います。


Q. 薄毛の人は白髪染めをしないほうがいいの?

実は、白髪染めはおしゃれ染めに比べてダメージが強いので、薄毛が気になる方は、白髪染めのデメリットを考えたうえで染めることをおすすめします。というのも、白髪のキューティクルは黒髪よりも強く、カラーの色素をなかに入れ込むのが難しいので、強い薬剤を使わざるをえないからなんです。

最近はおしゃれ染めのカラー剤を調合して白髪を染めるという方法をとっているサロンもありますが、このやり方だと色抜けがしやすいので、白髪の割合が多い方は気になるかもしれないですね。
私自身、20代から白髪があり、最近表面にも出てくるようになり気になり始めたので、おしゃれ染めのカラー剤を調合して白髪を染めています。そうすると、3週間ほどで早めに色抜けし、白髪の部分だけが少し色が浮くような明るい状態になります。
そこで次回根元を染める際は、前回染めたところも一緒に重ねて塗っていくと色素が濃くなるので、伸びたときも気になりにくいというメリットがあります。

地肌のダメージに関しては、頭皮が薬剤でかぶれないように、多くのサロンでは保護剤を用意しています。来店前か施術前にパーマやカラーの地肌へのダメージが気になることをサロン側に伝えて、保護剤を使ってもらってください(カラー専門店など、スピーディー・低価格を売りにしているお店については準備がないこともあるので、心配なら事前に聞くとよいでしょう)。

髪や地肌に負担が少ないカラー剤を使ってもらうことも一つの方法ですが、希望のカラーの色と髪質(硬めの髪質だったり、ダメージを受けにくい髪質だったりする場合)によって、色が入りにくい場合もあります。
ダメージの少ないカラー剤の取り扱いがあるかどうかは、サロンによって異なるため、気になるようであれば事前の確認をおすすめします。


Q. サロンでできるスペシャルケアは?

最近では、炭酸泉を使ってシャンプーや洗い流しをしたり、頭皮クレンジング剤を使用して頭皮の汚れを除去するようなヘッドスパメニューを置いていたりするようなサロンも増えています。そういった施術では、毛穴の汚れを除去してベタつきを解消できるので、頭皮環境の改善と血行促進が期待できます。薄毛が治るということではありませんが、髪の健康のためにはおすすめです。興味があったらぜひ試してみてください。


気になったときが始めどき!薄毛対策のセルフケア

熊谷 分かりました。よく頭皮を土、髪を植物に例えるのですが、生き生きとした植物を育てるために、まず土台の部分、つまり頭皮のコンディションを良くすることが大切です。

毛髪のサイクルを毛周期といい、通常2〜6年ほどで成長した毛が、その後、退行期になり抜け落ちるために毛乳頭から離れて皮膚表面側へ上がり、自然と抜け落ちます。この時、毛包も小さくなります。新たな毛を成長させるために、バルジ領域(皮膚の表面に近い部分にある、毛を生成する細胞が存在している場所)から毛包幹細胞が分化して毛包と毛母細胞となり、皮膚の奥の毛細血管がある毛乳頭へ戻って新たな毛が生まれるのですが、筋膜につられて頭の皮膚が突っ張り硬くなっていると、生え替わりのタイミングで毛包が萎縮しやすくなります萎縮した毛包は狭いので、毛乳頭へ辿り着きにくく不安定で抜け毛になりやすかったり、栄養がしっかりもらえず細毛ができやすくなる原因になります。


頭髪を支える頭の筋肉についても考えてみましょう。頭の筋肉は、前頭部、側頭部、後頭部にあります。頭頂部には筋肉はなくて筋膜のみがあり、周りの筋肉を支えています。前、横、後ろの筋肉が硬くなったり、疲労でゆるんでしまったりすると、頭頂部が突っ張るようになり、顔のたるみにもつながります。そうならないためにはまず、エイジングケアの成分が含まれているヘアケア剤を使うことが大事です。


【シャンプー】

薄毛の悩みに対応するエイジング成分が含まれているものを選ぶとよいでしょう。

●薄毛のお悩みにおすすめのエイジング成分

・アセチルテトラぺプチド-3 … バルジ領域の働きを活性化します。
・アカツメクサ花エキス … バルジ領域の働きを活性化します。
・カラギーナン … 髪の根元部分を強化します。
・ヒト幹細胞培養液 … 細胞を活性化させて、代謝を上げたり毛周期のサイクルを整えます。
・マダケ根エキス … 毛母細胞を活性化させます。
・ミノキシジル … 髪の毛母細胞の活性化と血の巡りを良くしてくれる効果があるといわれています。外用薬と内服薬があり、副作用が出る方もいるので医師との相談のうえ処方していただくことをおすすめします。


【トリートメント】

しっとり重くなりすぎないもの、ハリ・コシが出るものを使ってください。以下の成分が含まれているトリートメントがおすすめです。

・アミノ酸
・ケラチン …タンパク質。髪自体の主成分なので、髪を内部から補強してくれます。
・ミネラル … 収れん作用があるので、ハリ・コシを出しやすくしてくれます。


【頭皮用の化粧水や美容液】

白髪や抜け毛対策、また頭皮も代謝が落ちて老化現象が起こると髪にも良くないので、その対策のためにも頭皮用の化粧水や美容液を使ってみてください。化粧水や美容液を選ぶ際には、シャンプーでご紹介したエイジング成分が含まれている商品が適しています。

まずは洗髪後、ドライヤーをする前に化粧水を頭皮に使用してください。化粧水で頭皮のコンディションを整えたのち、美容液を使用すると、エイジング成分の浸透が良くなります。

※画像では撮影の都合上、乾いた髪に使用しています。



乾かし方や分け目がポイント!自分で挑戦、薄毛のヘアアレンジ

熊谷 アイコさんが心配されるのも分かる気がします。サロンで作ったヘアスタイルを再現するとなると、難しそうに感じるかもしれませんよね。

大事なのは乾かし方です。過去の記事『更年期の髪の気になるボリューム、対処法は?』でも詳しくお伝えしましたが、とにかくドライヤーを使って根元から立ち上げること、そして分け目を工夫すると、ご自宅でも薄毛が気にならないヘアスタイルが作れると思います。具体的にご説明しますね。


【不器用でもできる!薄毛を目立たせないヘアアレンジ】

まず、全体的にボリュームを出すため、毛の根元を流れと逆方向に起こすように乾かしていきましょう。乾かす際はなるべくボリュームが出るように全体的にいろいろな角度から乾かしていきます


分け癖や生え癖により、毛流れから逆方向へ風を当てると、ふんわり感が出やすいです。

分け目が目立つ方、全体のボリューム感が欲しい方は、普段分けている分け目とは逆にしたり、普段分けている部分をジグザグに分けるといいでしょう。分け目の位置を2、3ミリ外側に変えるだけでもボリューム感を変えることができます。分け目を数ミリずらす場合も、ジグザグに分けとる場合も、全体を乾かしたあと、スタイリングで分け目を変えていきます。

生え際が後退し、おでこが広くなったように感じている方は、前髪を作ってもいいでしょう。



【薄毛を隠すテクニック】

たまには気分を変えて、耳上の髪の毛を取って結ぶスタイル“ハーフアップ”はいかがでしょう。トップにボリュームが出る、おすすめのヘアアレンジ法です。また、ファッションに合わせてお手軽に帽子やウィッグ、ターバンなどで雰囲気を変えて楽しんでみるのもおすすめです。

どうしても自力でのヘアアレンジに限界を感じる場合は、増毛の施術にトライしてもいいですし、分け目や生え際を積極的にケアしたい方は、分け目が目立たないように頭皮にアートメイクを施すという選択肢もあります。



美髪のために頑張りたい、毎日の生活習慣

熊谷 その通りです。子育てやお仕事でお忙しいアイコさんでも取り入れられる、ちょっとした生活習慣の改善法をお伝えしていきましょう。


●睡眠 … 副交感神経を優位にして血流を促進し、免疫を上げるためにも、十分な睡眠をとることが大事です。就寝前に寝室にアロマなどの香りを取り入れてリラックスし、質のいい睡眠をとれるようにしましょう。

紫外線 … 肌の老化のうち、約8割が紫外線による光老化(日光を浴び続けたことによる皮膚の変化)だという説があります。特に頭皮は顔の約3倍紫外線を浴びているともいわれる部位なので、帽子や日傘などで、頭皮の紫外線対策をすることが重要です。

血流促進 … ホルモンバランスで代謝が落ち、髪に必要な栄養成分が届かなくなると、髪自体も細くなってしまいます。また土台である地肌が硬くなると、髪が育ちにくい頭皮環境になることも。
まずは血流促進を意識して、ブラシで毛流れに逆らうようにブラッシングしながら髪を乾かしてみてください。立ち上がりも良くなり、頭皮マッサージにもなりますよ。

サロンでも、お客様の頭皮が硬くて血行不良の状態の場合は、マッサージしてほぐすことをおすすめしています。以前ご紹介した“髪の毛をボリュームアップするマッサージ”を、普段からやってみてくださいね。(※過去の記事『更年期の髪の気になるボリューム、対処法は?』をチェック)



食生活 … 髪の毛はタンパク質によって作られているので、食物から良質なタンパク質を摂りましょう。また亜鉛やビタミンはしっかりとした髪へ導いてくれますし、ホルモンバランスを整える大豆イソフラボンや、血行促進と血管を強くするシナモン、ヒハツ、ルイボスティーの摂取もおすすめです。大豆イソフラボンは、サプリメントで補ってもいいですね。



薄毛は不調のサイン。今からの対策で心も体も健康に

熊谷 アイコさん、年齢を重ねると、若い頃には感じなかった不自由さや悩みも増えるかもしれません。でもその一方で、若さがあったから気づかずにいた、自分の好みや本音みたいなものが浮き出てくるのではないかと私は思っています。

薄毛も自分が出している不調のサイン今までのケアの何が良くなかったのか、改善策を取り入れて、何が自分の髪に効果があったのか考えるようにすれば、きっと新しい発見があるのではないでしょうか。好みや価値観は年齢と共に変化していくものですから、その時々で解決していけばいいと思うんです。

熊谷 髪の毛の健康状態は、知らず知らずのうちに変化していくので、ある程度進行しなければ気づけなかったり、気づいた段階から健康な髪に戻すにも時間がかかります。

早め早めに薄毛対策をしていると、頭皮環境が良くなって髪も艶やかになったり、毛細血管が多い頭皮をマッサージすることで、全身の血行促進や、フェースラインのリフトアップ効果なども期待できます

自分が周囲からどのように見られているのか考えながら、今の自分に似合うヘアスタイルを考える過程こそが、健康的な若々しさの維持につながっていくはずです。

熊谷 もし薄毛のお悩みがあるなら、恥ずかしがらずに美容師に相談していただくことをおすすめします。お悩みの内容や気になる部分によって、セルフケアで改善できるのか、美容施術を受けるのかもお伝えできると思うんです。今の時代は、改善策にもたくさんの選択肢があるので、自分が心地よく選択できるものをその都度決めていけたら、きっと良い結果につなげられると思います。


熊谷玲奈先生
原宿の美容室SAKURA所属のスパニストとして「ヘッドスパ」に力を注ぐほか、足つぼ・リフレ、ボディケアやフェイシャルエステを学び、お客様の心や体の疲れに寄り添うホリスティックビューティーを提案している。

アイコ

アイコ
43歳。夫と小学生~中学生の子ども3人の5人家族。子育てをしながらパート勤務をこなし、毎日忙しく過ごしている。2年前からホットフラッシュやイライラ、不安感、気分の落ち込みに悩む。最近では、物忘れや高血圧、白髪、抜け毛の症状も。

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