できない日があってもいい!更年期でも続く運動とは?

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更年期女性のお悩みを、読者代表のヴィーナスが専門家に相談して解決する「お悩み解決隊」。今回は“しなきゃと思いつつ続けられない”、更年期の運動習慣を取り上げます。バツイチのシングルマザー・ヤヨイが、更年期トータルケアインストラクターの永田京子先生に、更年期でも続けられる運動の工夫を伺いました。3日坊主の方にも役立つヒントが満載です!



したほうがいいと分かっているのに、なぜか更年期に運動が続かない理由

永田先生(以下、永田) 更年期世代で、ヤヨイさんのように”運動が続けられない“と悩まれている方は多い気がします。

令和5年度 文部科学省「体力・スポーツに関する世論調査」によると、40代が運動しない理由のトップ3は、

1. 仕事や家事が忙しいから
2. 面倒だから
3. 運動・スポーツが嫌いだから

というもの。運動が大切だと頭では分かっていても、更年期世代はなにかと多忙時間的な制約もあって、つい運動を後回しになってしまうようですよ。

永田 皆さんお忙しくて疲労困憊でしょうし、面倒だと感じるお気持ちもよく分かります。

でも実は、疲れているときこそ、あえて体を軽く動かすことがおすすめです。「積極的休養」といって、運動で血流を良くすることで、疲労物質の排出が促され、疲労回復が期待できるんです。

それ以外にも、更年期から減少しやすい骨量を保てれば、骨折のリスクを減らすことができますし、運動で筋肉を維持できれば、毎日の動作がぐっと楽になります。筋肉を動かし代謝がアップすれば、体重管理にも役立ちます

運動は心の健康のためにも大切で、10分間ストレッチをするだけでも、抑うつ症状が減少することが示されているんですよ※1

永田 ヤヨイさん、大丈夫ですよ。運動が体に良いと分かっていても、忙しさや疲れからなかなか取り組めないと言うときがあるのも分かります!そんなときは、深呼吸から始めてみてはいかがでしょうか。深呼吸はしっかりと行えば呼吸筋や腹筋、背筋などたくさんの筋肉を使います。肺を膨らませることで内臓を内側からマッサージする効果もあり、血流も良くなります。血流が良くなり気分が良くなれば、毎日10分だけ散歩をする、ストレッチをする、といった手軽で無理のない目標にレベルアップしていけばいいと思うんです。

永田 私のおすすめは、日常生活のなかで「迷ったら体を動かす方を選ぶ」ということ。運動のために特別な時間をつくらなくても、たとえば、エレベーターか階段か迷ったら、階段を選ぶ。少しの距離ならば、車ではなく徒歩で行くなど。体を動かす方を選択することで、運動量を大きく増やすことができます。


※1 中年女性の更年期症状および抑うつ症状に対する ストレッチの効果:ランダム化比較試験


更年期世代におすすめの運動メニューをチェックする



更年期からの運動モチベは、やる気に頼らず仕組みでアプローチ!

永田 ヤヨイさん、そんなときは、目標ではなく「仕組み」を変えると運動を継続しやすくなりますよ。仕事や家事の合間にできるエクササイズを取り入れれば、運動時間を捻出しなくても、生活のなかで運動ができます

たとえば、歩けそうな距離なら徒歩で移動する台所にいるときに、かかとを上げ下げするような「ながら運動」を取り入れる。運動する仲間をつくって、一緒に運動する日をスケジュールに組み込んでしまうのもいいと思います。運動の合間のおしゃべりも、モチベーションにつながりますよ。

ここで更年期世代におすすめの運動の強度や時間などもお伝えしましょう。


【更年期症状の緩和に効果的な運動の強度や時間】

20分ほどの簡単な運動でも、更年期症状の改善が期待できます。

運動前後で更年期症状の変化を調査※2すると、20分程度の、椅子に座ったままできるような簡単なストレッチでも、更年期症状が緩和されました。ウオーキング、ヨガ、ピラティス、軽い筋力トレーニングなど、自分に合った運動を無理のないペースで行ってみてください。


【更年期女性におすすめの運動の種類や頻度】

更年期女性にやっていただきたいのは、足の筋力トレーニング(週2~3回)です。

更年期からは、太ももなど下半身の筋力がどんどん低下しやすくなります。そのため、スクワットや腿上げなど、 足の筋肉を鍛える運動がおすすめです。また、骨量低下を防ぐためにも、骨に刺激を与える運動(後述の「かかと落とし」)などもぜひ試していただきたいです。

また、疲れやすい人、体重が気になる人には、ウオーキングなどの有酸素運動もいいですよ。血行が良くなって、疲労が軽減されることも。1日たった10分でもいいので、始めてみてください。


【こんなことも運動にカウントできる!】
●深呼吸をする
●毎日10分だけ散歩する
●ストレッチをする
●エレベーターか階段か迷ったら、階段を選び、足腰を鍛える
●近距離の通勤や買い物なら、電車や車を使わず徒歩で行く
●料理のときに、鍋が煮えるまでのスキマ時間にかかとを上げ下げするような「ながら運動」を取り入れる
●運動する仲間をつくって、一緒に運動する日をスケジュールに組み込んでしまう
●テレビを見ながらスクワットをする
●徒歩で移動するときは、いつもより1.5倍程度の大股で歩くようにする

永田 三日坊主が心配であれば、友達や家族を誘って一緒に運動してみてはいかがでしょう。誰かと一緒に運動する約束をすると、1人だと「今日はやめておこうかな」と思うときでも、“約束があるから行こう”という気になります。また、人がいれば、おしゃべりをしながらウオーキングができたりと、運動が「楽しい時間」に変わります。毎週の予定として入れるなど、定期的に予定を入れれば、運動が習慣化しやすくなりますよ。

運動の時間をスケジュールに組み込む場合は、一つの予定として優先してスケジュール帳に書き込むこと。そうすれば、運動を後回しにすることを防げます。

そして、家事で時間が取れないということであれば、見方を変えて、子どもに家事の分担をお願いしてみましょう。家事ができるようになるのも、子どもがこれから生きていくために必要なことです。自分の時間も確保できますし、きっと一石二鳥です。


※2 中高年女性のための自律神経を整える呼吸法・エクササイズ / BREATHING METHOD FOR PREPARING AUTONOMIC NERVES FOR MENOPAUSAL WOMEN:2016年 更年期と加齢のヘルスケア学術集会(平成帝京大学)、発表者:永田京子

トレーニングする女性



気軽に始めたい、ウオーキングとちぇぶら体操

永田 初めのうちは、短時間で低強度の運動で体を慣らしていきましょう。例えば、1日10分のウオーキングや軽いストレッチからスタートし、体が慣れてきたら徐々に時間や強度を増やしていくといいですよ。

ちなみにヤヨイさん、疲れやすいと感じるときこそ、軽いウオーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。体を動かすことで血流が良くなり、疲労物質が流れて疲れが軽減することがあるんです。

永田 よかったです(笑)。ただ、運動前には、全身の軽いストレッチや、手足をブラブラと揺らしたりウォームアップを行ったりしてくださいね。更年期には関節が硬くなりやすく、痛みを感じやすくなることがあります。筋肉や関節をほぐすことで、ケガのリスクを減らし、運動効果が高まります。また筋肉や関節の疲労を軽減するためにも、運動前のウォームアップと運動後のクールダウンは大事です。そして運動後は十分に水分を補給し、休息をとること。体調が優れないときは、休む勇気も必要です。

永田 ではここからは、具体的な運動方法をご紹介していきましょう。


ウオーキング

ウオーキングは、簡単にでき、さらに筋力や体力の維持にもつながるのでおすすめです。ポイントは、いつもよりも1.5倍の歩幅で歩くこと。足を遠くに出すことで、お腹周りの筋肉も、脚の筋肉も、よりしっかりと鍛えられます。

余裕があれば、肘を曲げて、腕を振りながら歩いてみてください。肩甲骨周りの筋肉がほぐれ、歩きながら肩こりが解消できますよ。


●ちぇぶら体操

更年期の不調改善のために考えられた、無理なく継続できる「ちぇぶら体操」をご紹介します。 「ちぇぶら」は更年期を前向きに捉えた英語「The change of life」の意味。道具は必要なく、ご自身の体一つあれば簡単にできる運動です。ぜひ試してみてください。


①骨盤の歪みを整える「かかと上げ下げ運動」

この体操では、骨盤周りにつながっている大臀筋、内転筋を鍛えることができます。骨盤の歪みを整え、尿漏れの予防や、O脚の改善、ヒップアップの期待もできる運動です。エレベーターの待ち時間や、 電車の待ち時間などすきま時間を見つけてぜひ取り入れてみてください。

また、慣れてきたら、かかとに少し刺激を与えるようにトンと床につくようにすれば、骨に刺激が伝わり、骨を強くする効果にも期待ができます。

1. かかと同士をくっつけて立つ。この時、つま先は斜め45度程度、外側に向ける(足が痛い方はできるところまででOK)。

2. かかと同士をつけたまま、かかとを床から10cm浮かせる。5秒キープし、ゆっくりと下ろす。これを1日10セット。


②代謝アップのヒップウオーク

おしり歩きをすることで、上半身と下半身をつなぐ大事な筋肉「腸腰筋」が鍛えられます。この筋肉が鍛えられると、歩く、走るといった日常動作がとても楽にできるようになります。 また代謝アップにも効果的。運動不足の場合、最初はきついと思うかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください!

1.マットや布団の上に座り、足を伸ばす。足を伸ばすのがつらい方は、軽く膝を曲げてもOK。

2.お尻を片方ずつ浮かせ、前に進む。 10歩進んだら、今度は10歩下がるようにする。これを1日5セット。


③更年期からの体を整える3分エクササイズ「ちぇぶらラジオ体操」

こちらは特に更年期におすすめの、たった3分でできる体操です。毎朝行うだけでも、体調が改善され、気分よく過ごせますので、ぜひ動画を見ながらトライしてください。

①自律神経を整える ②肩こり解消 ③ストレスケア ④バランス ⑤骨量アップ⑥代謝を上げる ⑦リラックス ⑧やる気を出す を、この体操1つでケアできるんですよ。



集団で行うヨガやピラティス教室。興味があるけど、続けられるか不安な人は

永田 ヤヨイさん、「教室に興味はあるけど、続けられるか不安」という方は、すごく多いと思います。

教室に通うメリットは、他の参加者との交流を通じてモチベーションが維持しやすく、楽しさも倍増する点。スケジュールに組み込まれていれば継続もしやすいでしょう。一方で、自分のペースで動けなかったり、他人と比較して心が疲れてしまったり、グループに馴染めないと感じることがあるかもしれません。

集団での運動に参加する際は、「自分の健康のために楽しむ」という気持ちで参加してみるとよいですよ。人と比べるのではなく、自分の人生を豊かにするために挑戦するんです。

実際に参加してみれば、意外と若い方々と気が合うかもしれません。こうした教室では、お試しの体験会を実施していることも多いので、まずは、「えいや!」と参加してみて、そのあと継続できそうか考えてみればいいと思います。

かくいう私も、日々“ながら筋トレ”がメイン。昨夜の散歩で近所に新しいピラティスジムを見つけたので、ちょっと気になっているところです(笑)。不安はあるかもしれませんが、興味があるなら、まずは心理的なハードルを持たずに飛びこんでみましょう!参加するメリットが実感できたら、入会してみる。ヤヨイさんも、してみたら意外とハマるかもしれませんよ(笑)。



運動できるようになったら、生活習慣も変えていこう

永田 そうですね…。食べすぎも気になりますが、運動しているからこそ必要になる栄養にも目を向けてくださいね。特に運動で使った筋肉の修復に必要なタンパク質をしっかり摂るようにしましょう。大豆イソフラボンやカルシウム、ビタミンDなど、更年期に必要な栄養素を意識して摂取することも大切です。また、汗と一緒にミネラルも出てしまいますから、ミネラルの補給もしていきましょう。スポーツドリンクだけでなく、お野菜や果物などバランスよく食べられるといいですね。栄養バランスの良い食事は、運動による筋力向上や体力維持のために欠かせません。

そして、食事とともに意識していただきたいのが睡眠です。良質な睡眠とバランスの取れた食事は、運動とセットで大切。睡眠は体の回復を助け、運動の効果を最大限に引き出します。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、運動で壊れた筋肉を修復して強くしてくれるんです。成長ホルモンは、筋肉だけでなく、骨や他の組織の修復にも役立ってくれます。



3日坊主も何度でもすれば、それは立派な“継続”です

永田 「運動が続かなかった」と言うときがあっても、思い出したときに、また始めればOK!3日坊主も何度でもすれば、それは立派な継続です。自分のペースで楽しみながら続けていきましょう。

永田 日本人女性は、世界で1番長寿です。これは素晴らしいことですが、一方で健康寿命と平均寿命の差は約12年もある現状があります。 将来、介護が必要になってしまう原因の3割は筋力の低下です。せっかく長く生きられる時代ですから、今、運動習慣がない方も、更年期をチャンスに運動を始めませんか?運動で今日や明日を快適に過ごし、未来の自分にも健康をプレゼントしましょう!


<この記事を監修いただいた先生>

永田 京子 先生
株式会社ウェルネスシアター代表 / 更年期トータルケアインストラクター
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ヤヨイ

ヤヨイ
47歳。中学生の子どもとの2人暮らし。バツイチのシングルマザー。子どもに手がかからなくなってきたので、仕事でキャリアアップに励んでいる。4年前から肩こりや倦怠感、目の疲れ、汗、イライラがひどくなってきて、肌のシワやシミも気になっている。

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