あったかお風呂で自律神経を整えよう!更年期のお悩み別入浴法ガイド

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読者代表のヴィーナスたちが、更年期世代のお悩みを専門家にインタビューして解決策を探る『お悩み解決隊』。今回は、冷え性や寝つきの悪さに悩むヒロミが、温泉療法専門医の早坂信哉先生のもとを訪ねました。早坂先生によると、入浴の仕方で自律神経が整い、冷え性だけでなく、生理不順や疲労、肩こり、腰痛が改善できるとのこと。お悩み別の入浴法も必見です!



更年期世代に入浴がおすすめな理由とは?

早坂先生(以下、早坂) そうでしたか。入浴で自律神経が整うというのは本当なんですよ。更年期世代は自律神経が乱れがちですので、お風呂時間を有効活用していただきたいです。

早坂 自律神経というのは、人間の体を一定の条件に整えていくために働くもので、交感神経と副交感神経の2種類が存在します。

・交感神経 … 血圧を上げたり、心拍数を早めたりして、体を活動モードにする
・副交感神経 … 血圧を下げたり、血管を広げたりして、体をリラックスさせ休息モードにする

この2つの神経のバランスが良ければいいのですが、どちらかが強く働きすぎると、本当は血圧が上がらないといけないときに血圧が上がらず、倦怠感などの症状が出たり、血管が収縮しなければならないときに血管が広がり、ホットフラッシュのような症状が出たりしてしまいます。こういったアンバランスが、自律神経の乱れにつながります。

更年期に自律神経が乱れる大きな原因は、ホルモンのバランスの悪化。更年期までは、周期的に女性ホルモンが出るので、体調を整えることができるのですが、更年期になると女性ホルモンの分泌量が減るため、自律神経のバランスが崩れやすいんです。ただ、自律神経の乱れといっても、レントゲンに映るといったように可視化したり数値化できるわけではないので、ご自身では分かりにくいかもしれません。交感神経が優位の場合には、以下のような症状が出ることがあります。


【交感神経が優位だと生じやすい症状の例】
・めまい
・緊張感が強い
・イライラする
・気持ち悪さ
・立ちくらみ
・ホットフラッシュ
・冷え性 など

早坂 そうです。冷え性は交感神経が優位になり過ぎている状態になります。

早坂 先ほどお伝えしたように、そのとき自分が交感神経が優位なのか、副交感神経が優位なのかを判断することは難しいですが、実はお風呂のお湯の温度で、交感神経、副交感神経のスイッチを簡単に切り替えることができるんですよ。

具体的にお伝えしましょう。朝、血圧が低くてなかなか起きられない場合は、交感神経のスイッチが入っていない状態なのですが、42℃以上のお湯に浸かると交感神経にスイッチを入れることができるんです。

逆に、副交感神経のスイッチを入れたいときには、お湯の温度をぬるめの40℃以下にする。すると、副交感神経にスイッチが入るのです。

通常、副交感神経にスイッチを入れるには、ヨガや呼吸法が適しているといわれるのですが、どれもトレーニングが必要ですよね。その点、給湯器の温度を変えるだけで、交感神経のスイッチのオンオフができるお風呂は、とても便利なツールなんです。

早坂 血圧が十分上がらなかったり、立ちくらみがひどい、調子が出ないという場合には、血圧を上げるために熱めのお湯に浸かる。反対に、冷え性を改善したかったり、リラックスしたい場合にはぬるめのお湯に浸かる誰でも簡単にできて、自律神経も整えられるのが入浴のいいところなのです。


更年期のさまざまな悩みに、どんな入浴法がいいのかチェックする



入浴するときに気を付けたい、ちょっとしたルール

早坂 もちろん、気軽なスタンスで入浴すればいいのですが、効果的な入浴のために守ると良いポイントがいくつかあるので、まずはそこからご説明しますね。


【効果的な入浴のポイント】

①基本的に毎日入ること

言うまでもないことですが、お風呂には毎日入りましょう。最新の研究によると、日々の入浴は、更年期症状だけでなく、他のいろいろな病気の発症を予防してくれるとのこと。毎日入浴する人は、週に0~2回しか入浴しない人と比べて、将来要介護状態になるリスクを29%減らせるという研究結果もあります。また、毎日湯船に入ると、新たにうつ病になるリスクを24%減らすことができるそうです。

②食後30分以上あけてから入浴を

食後に入浴する場合は、30分くらい時間を空けてから入ったほうが良いでしょう。水圧によってお腹が圧迫されますし、食後1時間は消化活動のために血液が胃に集まり、血圧が下がりやすいので健康リスクもあります。入浴すると、皮膚の表面に血液が集中してしまうので、消化にも影響が出ます。

③睡眠1時間半前にお風呂に入るのがベスト

良質な睡眠をとりたいなら、布団に入る1時間半前くらいに入浴してください。理由は深部体温を上げるため。入浴後1時間半くらいで深部体温が徐々に下がるので、このタイミングで布団に入れば良く眠れます。

ちなみに、寝るギリギリに入浴すれば、ホカホカしたなかでぐっすり眠れそうに思うかもしれませんが、実は体が火照って眠りづらくなり、睡眠のためには逆効果です。

④入浴時間は40℃で10分を目安に(基本の入浴法)

入浴時間は、40℃で10分程度の全身浴がおすすめです。この10分というのは、体を洗う時間を除いて、お湯に浸かっている時間のことを指します。

この入浴法で、体温は0.5℃ほど上がり、血管が広がって血行が良くなるので、栄養分や酸素、必要なホルモンを血液に乗せて全身に巡らせることができるようになります。

長時間入浴するのが好きな方もいるかもしれませんが、30分~1時間も入浴していると、体が温まりすぎて熱中症になったり、脱水症状を起こしたりすることもあるので要注意。37~38℃(体温くらい)のぬるいお湯に30分浸かるのならいいですが、40℃のお湯なら15分ほどが許容範囲でしょう。

⑤起床後や、寝る直前に入るならお風呂よりシャワー

起床後、仕事に向かう前に体を温めたい場合は、お風呂ではなく42℃のお湯で2、3分シャワーを浴びることをおすすめします。理由は、仕事モードに切り替えようというときに入浴してしまうと、逆に副交感神経のスイッチが入ってリラックスし、眠くなってしまうから。なかなか布団から出られないというときには、起きぬけにサッとシャワーを浴びてから朝食を食べましょう。

寝る直前に少し体を温めたい場合も、入浴ではなく、40℃のお湯で5分程度シャワーを浴びる程度に済ませるのが、睡眠にとってはベターです。

⑥冬場の入浴はヒートショックに注意

突然寒い部屋から温かいお湯に入って心臓に負担がかかる“ヒートショック”は、特に冬場、高齢者に対して注意喚起されますが、更年期世代の方も十分気を付けてください。

更年期世代は女性ホルモンが減少し、生活習慣病のリスクも上がります。女性の体は、若いときには女性ホルモンによって守られていますが、更年期になると血管の老化も進行するので、ヒートショックから体調不良につながることも。

ヒートショックを防ぐために、お風呂の蓋をせずにお湯を張り、浴室を蒸気で温めたり、浴室に入る前に洗い場の床に1~2分、シャワーで熱めのお湯をかけたりして予防しましょう。

なお、お風呂に入る際には手先、足先に、風呂桶10杯ほどかけ湯をし、その後心臓に近い位置にもゆっくりお湯をかけて、温かさに体を慣らしてから入浴するようにしてください。

⑦脱衣室やリビングの温度にも配慮を

前述のヒートショックを防ぐため、脱衣室やリビングの環境整備も大切です。具体的には、脱衣所は暖房で20℃以上にしておくこと。お風呂から上がってくつろぐリビングも、脱衣所との温度差を5℃以内に設定すると良いです。

バスタイム後は、暖房をつけて温かくした室内で、スマホをOFFしてリラックス。ゆっくり休みながら、自然に体温が下がるのを待ってから布団に入ってください。

⑧沸かし直しの湯船はNG

今は24時間風呂を設置しているご家庭も多いかと思いますが、お湯を張って入浴した後、翌日、翌々日と沸かし直しをして入浴するのはおすすめしません。数年前の実験で、初日と比べて翌日の沸かし直しのお湯には雑菌が6000倍に増えたとのこと!できれば毎日バスタブを洗い、新しいお湯に浸かることをおすすめします。

⑨入浴前後に水分を摂ろう

入浴する前と後、どちらも水分を摂ってください。

人は入浴すると、500~800mlくらいの汗をかきます。そのため、入浴5分前にコップ1~2杯、また入浴後すぐにコップ1杯、合わせて500mlのペットボトル1本分くらいの水を飲むと良いと思います。暑い時期には冷たいお水でもいいのですが、基本的には常温の水を飲めばOKです。



冷え性、不眠、片頭痛…。悩みに合わせて変えたい入浴法とは

早坂 「40℃のお湯に10分の全身浴」がおすすめの“基本の入浴法”ですが、症状別に良いと思われる入浴法もあります。以下にご紹介するお悩み別の入浴法から、ご自身の気になる症状に合わせて入浴してみてください。


【お悩み別のおすすめ入浴法】

●疲労感が強い場合

疲れている場合は、基本の入浴法(40℃のお湯に10分の全身浴)がベースになります。

お湯に浸かる時間は、まとめて10分間ではなく、額に汗をかいたら1回湯船から出ること。洗い場に出て体を洗ったり、少し休んだりした後に、再び入浴します。最終的に湯船に浸かっている時間をトータル10~15分とするのが良いでしょう。浴室が寒く感じるなら、お湯に浸かる時間を5分ほど延長してもOKです。

●冷え性や血行不良の場合

冷え性や血行不良の方の場合は、“熱いお湯に入らない”ことがポイントになります。冷え性の方はどうしても体を温めたくて熱めのお湯に入りたがります。熱いお湯だと、確かに体は温まるのですが、お風呂から上がってから温かさが長く続かず、すぐに体が冷えてしまいます。それは、熱さを感じた体は異常事態と考え、一生懸命汗をかいて体を冷やそうとしてしまうからなんです。そのため40℃前後のお湯に浸かったほうが体はじっくり温まります。

ちなみに、手の先、足の先の冷えが気になるようなら、40℃の湯船に3分ほど浸かった後、一度湯船から出ましょう。そして洗い場で25~30℃くらいの、少し冷たいと感じるくらいのお湯を、冷えの気になる部分にシャワーで30秒ほど当ててくださいこれを3回ほど繰り返したのちに、もう一度温かい湯船に浸かるといいですよ。

温かい湯船のなかでは、血管が広がって血行が良くなるのですが、少し冷たいお湯を冷える場所にかけると、血管が収縮します。このように、お湯の温度を変えて血管の収縮を繰り返させることで、ポンプのような動きを起こすことができるので、血行が促進できるというわけです。

なお、冷え性にお悩みの方は、血管を拡張させる働きがある炭酸系入浴剤を使っても良いでしょう。

●イライラや不眠を感じている場合

イライラや不眠を感じている方も、基本の入浴法(40℃のお湯に10分の全身浴)でOKです。そのうえで、ラベンダーなどリラックス効果のあるアロマオイルを使っていただくのも一つの方法かと思います。

注意していただきたいのは、アロマオイルを直接湯船に垂らさないようにすること。アロマオイルは、皮膚に付着すると肌が荒れやすいので、芳香浴として使っていただくのがいいと思います。

芳香浴の方法は、洗面器にお湯を張り、アロマオイルを2、3滴垂らしますその洗面器を浴室に置いて、香りの広がるなかで入浴を楽しんでください。イライラ気分におすすめのアロマオイルは、ベルガモットやラベンダー、フランキンセンスなどが挙げられますが、なにより “自分の好きな香り”を選ぶことが一番だと思います。

●抜け毛や薄毛が気になる場合

抜け毛や薄毛予防のためには、頭皮の血流を良くすることが大事です。マイクロバブルやウルトラファインバブルといった気泡を発生できるシャワーヘッドに変えてみたり、炭酸系入浴剤を入れた湯船に頭を浸けて温めてみると良いでしょう。

●便秘の場合

便秘のときは、交感神経が強く働きすぎていることが多いので、40℃前後のぬるめのお湯に入り、副交感神経のスイッチを入れると、胃腸が動きやすくなります。なお、湯船のなかで、お腹に手を当て、ゆっくり“の”の字マッサージをするのもおすすめです。お腹の右下からゆっくり右上、左上、左下へと手を動かしてください。湯船のなかだと肌の滑りが悪いと感じるなら、洗い場に出て、石鹸をつけた手でお腹をマッサージしても良いでしょう。

なお、下痢のときは、無理して入浴しないでください。

●頭痛の場合

片頭痛は女性に多い症状。ズキンズキンと脈を打つような頭痛を感じたり、階段を下りるときに頭に痛みが響いたり、頭を振ると痛みが増したり、ひどい場合には吐き気をもよおすという方もいらっしゃいます。そういった片頭痛がある場合は入浴を控えてください。

片頭痛を持っている方なら、なんとなく頭痛が起こりそうなタイミングが予測できるはずです。入浴すると血管が広がり、余計に片頭痛が悪化しますので、シャワー程度にとどめておいたほうが良いでしょう。

片頭痛はあるものの、どうしても手や足の冷えが気になるなら、手浴、足浴くらいはしてもOKです。ただ、痛みの状況によって頭痛外来のあるクリニックを受診し、片頭痛の薬を処方してもらうと良いと思います。

なお、経験したこともない頭痛が突然起こった場合は、脳内出血のおそれもあるので注意が必要です。こうなるとお風呂に入っている場合ではありません。すぐに医療機関を受診しましょう。

●動悸

動悸が起こっているときは、交感神経が強い状態なので、副交感神経にスイッチを入れるために、基本の入浴法でゆっくり体を温めてください。

●生理不順、ストレス

生理不順もストレスから来るといわれることがありますので、基本の入浴法でゆっくりリラックスすると良いでしょう。

●しびれ、関節痛、肩こり、腰痛

しびれや関節痛、肩こり、腰痛は、慢性的になっている神経の過敏性を抑える必要があります。血流の悪さが原因であることも多いので、入浴して体を温めると改善が期待できます。42℃以上の熱いお湯だと、筋肉が余計に収縮してしまうので、ぬるめのお湯でゆっくりリラックスして入浴してください。

肩こりや腰痛があるときは、湯船のなかで温まりながら簡単なストレッチや運動をするのもおすすめです(後述)。

●めまい

めまいがあるときは、無理して入浴しないでください。疲れが溜まるとふわふわ感を伴うめまいが起こりやすいので、睡眠をしっかりとることが大事です。自律神経が整えば改善する可能性もあるので、めまいの症状がないときに入浴して疲れをとるようにすると良いです。


さらにリフレッシュ!お風呂時間にプラスαのケア

早坂 分かりました。それでは、入浴剤やアロマオイルなどの効果的な使い方や、お風呂時間をさらに充実したものにするための方法をいくつかご紹介しましょう。


●炭酸系入浴剤、漢方薬系の入浴剤を使う

今はいろいろな種類の入浴剤が売られていますが、なかでも炭酸系の入浴剤や、漢方系の生薬が入っている入浴剤はとてもおすすめです。特に漢方系の入浴剤は、皮膚から吸収される成分とともに、蒸気になって肺に吸収できるのもメリットです。

炭酸系入浴剤は、皮膚から炭酸ガスが吸収されて血管を広げてくれるので、冷え性の方には特に良いでしょう。

また炭酸ガスと謳っていなくても、昔からあるような温泉系の入浴剤は、皮膚に温泉成分が付いて保温効果を高めてくれる作用があるので、好みでお試しください。

●湯船のなかで、軽いストレッチや運動、マッサージをする

湯船に浸かると関節や筋肉が柔らかくなって、体が動きやすい状態になります。お湯のなかで体を動かすとストレッチ効果も高まるので、ぜひ挑戦してみてください。

まず、湯船で体を5分ほど温めます。その後、お湯に浸かりながらストレッチや軽い運動をしてみましょう。

・湯船に入り、バスタブの右側のふちを両手でつかんだ後、左側のふちをつかむ。この動作をゆっくり繰り返し、腰を伸ばす。
・肩まで湯船に浸かりながら、肩を回す、肩を上げ下げする、両腕を広げて肩甲骨を寄せる、などの動きで周りの筋肉をほぐす(肩こりに有効)。

五十肩で痛みがあったり、関節そのものに痛みを感じたりする方は、湯船に入ってお湯のなかを手で左右に湯を掻くように動かすと、インナーマッスルが鍛えられるといわれています。

また入浴後にストレッチをする場合は、“し過ぎない”ことが大事です。あまり一生懸命してしまうと眠れなくなってしまったり、体を壊したりするので、ゆるめに行うことをおすすめします。

●美容のために半身浴にすべき?

美容のためにと半身浴をされている方も多い印象ですが、本当は肩が浸かるくらいの湯量のお湯に浸かる全身浴のほうが健康面でメリットがあるように感じます。

実はお風呂に入ると体が温まるだけでなく、水の浮力や水圧といった特別な効果も得られるんです。

浮力は文字通り浮かぶ力で、湯船のなかでは体重が軽く感じられるため、それだけ腰にかかる負担、足の負担が軽くなり、疲れが取れやすくなります

また水圧は、下半身の血液を上半身に押し戻してくれたり、リンパ液を押し戻してくれたりというメリットがあります。

浮力と水圧は、どちらもある程度の湯船の深さが必要になるので、湯量が多いと息苦しく感じるなどの理由がなければ、健康維持のためには全身浴がおすすめです。

●浴室を薄暗くして瞑想時間に

マインドフルネスは、五感に意識を集中させ、過去の記憶や感情といった雑念ににとらわれない心を培うことですが、ビジネスの世界でも、ストレスマネジメントのために、瞑想を取り入れるという話をよく聞くようになりました。ただ、自分の部屋を薄暗くして何かをするというのは手間がかかります。それなら、お風呂でマインドフルネスを一緒にやってしまったほうが効率的ではないでしょうか。

浴室の電気を暗くして、脱衣所から漏れる明かりだけで入浴してみてください。薄暗い浴室で、カランから浴槽にちょろちょろと水を垂らして、その水音を聞きながら呼吸に集中するのもいいものです。そんな時間を1~2分でもしていただくと、きっと気持ちがすっきりするのではないかと思います。いわば「マインドフロネス」です。

●音楽、ラジオを聴きながら、バスタイムをくつろぎ時間に

浴室で本を読んだり、音楽を聴いたり、動画を見たりと、自分なりのやり方で充実したバスタイムを過ごすのも良いと思います。

操作が必要なデバイス(スマホなど)を浴室に持ち込んでしまうと、自分の楽しみたいYouTube番組の検索など、ついつい作業を始めてしまい、バスタイムが特別な場ではなくなってしまうこともありがちです。そこで私はアナログのラジオを持って、お風呂でAMラジオを聴くようにしています。普段なら聴かないような教育番組や古文の番組なども、お風呂で聴くと意外と面白くて、新たな発見がありますよ。

いろいろな工夫をしてお風呂を楽しむのはいいのですが、リラックスしすぎて入浴時間が延びると、脱水してしまうおそれがあるので、その点だけ注意してください。

●入浴後はぜひ保湿を

更年期以降は皮脂が減ってくるので、お風呂から上がって10分以内の保湿をおすすめします。

入浴すると、どうしても皮膚から皮脂が取れたり、セラミドが流出したりしやすくなります。そのためすぐに保湿しないと、余計に肌が乾燥してしまいます。最近は浴室内で、濡れた肌に使えるような保湿クリームや保湿剤が出ていますので、そういう商品を使っていただくのもおすすめです。保湿剤の商品を選ぶ際には、成分にセラミドが使われているものを選ぶと良いでしょう。



毎日のお風呂時間を工夫して、自律神経を整えよう

早坂 そうですね。入浴には健康を維持し、いろいろな病気が未然に防げるというメリットがあるかと思います。さまざまな研究結果によれば、入浴でうつ病のリスクが減らせたり、脳卒中や心筋梗塞のリスクも3割ほど抑えられたりと、いいことづくめです。介護予防にもつながりますし、健康寿命が延びることが期待できます。更年期の今から、ぜひ毎日入浴していただきたいです。

今まで入浴習慣があまりなかった方も、この機会に「40℃で10分の全身浴」という基本の入浴法を毎日取り入れ、湯船に浸かってリラックスする時間を持つことをおすすめします。

一般的に、更年期には自律神経のなかでも交感神経が優位になっていることが多いので、特に寝る前には副交感神経を優位にして、良質な睡眠をとることが大事。お湯の温度や入る時間を変えてみたり、シャワーを手や足にかける部分浴をしたり、入浴剤にこだわってみたり…。ときには温泉に行って、気分を変えてリラックスというのもいいですよね。

いろいろと工夫しながら自分なりにリラックスできる入浴法を見つけていけば、この先、年齢を重ねても元気に過ごせると思いますよ。

早坂 信哉 先生
温泉療法専門医
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ヒロミ

ヒロミ
45歳。夫と小学生の子ども2人の4人家族。結婚を機に仕事を辞め、現在は専業主婦となり家庭優先の生活をしている。約2年前から手足のしびれがあるほか、生理周期が短くなり、生理前には頭痛も。冷えや寝つきの悪さにも困っている。

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