更年期のイライラ、対処法を学ぼう!アンガーマネジメントに挑戦

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更年期世代のお悩みを、読者代表のヴィーナスたちが専門家に相談して解決の糸口を探す「お悩み解決隊」。今回は「アンガーマネジメント」を取り上げます。仕事と育児で大忙しのアイコは、日々イライラを抱えがち。家族に怒りをぶつけないためにはどうするべきか悩んだ末に、日本アンガーマネジメント協会代表理事の戸田久実先生のもとを訪ねました。



イライラしがちな更年期に、アンガーマネジメントが必要なのはなぜ?

戸田先生(以下、戸田) もちろん、女性ホルモンの急激な変化により、イライラしやすいということはあると思います。でも、家族に対してイライラしやすいのは、別の理由もあるかもしれませんね。

怒りには、身近な対象ほど怒りが強くなるという性質があります。

例えば、パートナーや子ども、親兄弟、長年付き合った友人、職場の身近な相手…。そういった近しい関係の人には、「長いこと一緒にいるんだから、自分の思い通りに動いてくれるはず」という期待と甘えが高くなりがちなんです。

特に子どもは、「自分の子どもなんだから思い通りになるのではないか」という思い込みもあるし、「一度言ったんだから、次はきちんとやってね」という期待もありますよね。他人に対しては理性が働いて、言ったらまずいなと思うことは言わないものですが、子どもに対しては、つい言わなくていいことも言ってしまう。

そんな風に身近な大切な人を傷つけないためにも、アンガーマネジメントをしましょう。


日常でできるアンガーマネジメントのテクニックをチェックする


そもそもアンガーマネジメントとは

戸田 アンガーマネジメントとは、怒り(アンガー)と上手に付き合うための心理トレーニングです。怒ってはいけないということではありません。トレーニングをし、怒る必要のあることは上手に怒ることができ、怒る必要のないことは怒らないで済むようになれることを目指します。

怒りという感情は、うれしい、楽しい、悲しいという他の感情と同じく、人間にとって自然な感情です。更年期世代に限らず、誰もが持つ感情であり、感情表現の一つです。

子どもに対して、怒りの感情をもって注意すれば、「これはやってはいけないことなんだ」と、親の本気が伝わることもあるでしょう。また大人同士でも「本当にやめてほしい」「本当に許せない」と相手に伝えるときに、怒りの感情で主張すれば、より真剣さが伝わるかもしれません。

また、怒りは防衛感情(身を守るための感情)でもあります。心と体の安心安全が脅かされそうになったとき、大切な何かや誰かを守ろうとするときに怒りで対応することもがあります。

そのため、怒りを感じることも怒ることも悪いことではありません。

ただ、怒りは他の感情よりもエネルギーが強く振り回されやすいので、うまく扱えないと人間関係に支障が出てしまう恐れがあるので注意が必要です。イラッとした瞬間に、思わず暴言を吐いて誰かを傷つけたり、相手に八つ当たりをしたり、暴力的な行為に及んでしまったり…。さらに相手が仕事関係者なら、仕事上の不利益を被ったり、相手を委縮させたり、トラブルに発展してしまったりするかもしれません。怒った後に自己嫌悪や罪悪感を味わう人もいます。

「あのとき、あんな怒り方をしなければよかった」「あのとき、あのタイミングで怒っておけばよかった」というように、怒りで後悔しないようにすることが、アンガーマネジメントが目指すことです。

戸田 アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで開発された心理トレーニングで、日本には2008年から広まり始めました。

2020年にパワハラ防止法が施行されてからは、多くの企業でパワハラ防止のためにアンガーマネジメントの講座を導入するケースが増えています。部下を持つ管理職やリーダー層だけでなく、世代間のギャップや上司からの指示、会社の評価にイライラしがちな若い世代も多く受講しています。上司と部下の関係ではなく、価値観の違う同僚同士でも、怒りを感じることはあるからです。それに、イライラしてしまうと、適切な判断ができなくなり、仕事に集中できずパフォーマンスが落ちることもあるかもしれません。一方、40代や50代の管理職世代からすると、「パワハラと言われるから、部下を叱れない」という不安や戸惑いもあるようです。

戸田 アンガーマネジメントは、実は大人に限らず、5歳のお子さんからできるキッズプログラムもあるほど、難しくはないんです。年齢を重ねても、取り組むのに遅すぎるということはありません。誰でも少しずつでも取り組み、継続すれば、できるようになっていきます。



まずは怒りへの理解が大事。有名な「6秒ルール」の真意

戸田 「6秒」という言葉がメディアに取り上げられたので、それが一人歩きしてしまい、6秒の意味を取り違えている人が結構多いんですよ。「6秒我慢すればよい」「6秒経てば怒りがなくなる」という解釈は本来の意味と異なります。

怒りを感じてから理性が働くまでが約6秒だというのが、「6秒」の意味です。つまり、理性が働くまでの6秒間に、怒りに任せた衝動的な行動(例えば、イラッとして怒鳴る、物に八つ当たりをする、暴力的な行為をするなど)をしないようにすることが大事なのです。衝動的な行動を避けるために、怒りを感じたら6秒やり過ごせるようになりましょうということです。

戸田 「6秒我慢する」よりも「理性が働くまで6秒間をやり過ごす」という表現の方が理解しやすいかもしれないですね。なかには「1、2、3…」と数えようとする人もいますが、無意識でも数えられるため、怒りながら数える人もいます。大事なのは、6秒の間に意識を違うところに向けることです。


怒りが生まれるメカニズム

怒りをうまく扱えるようになるためには、“なぜ怒りの感情が生まれるのか”を知っておく必要があります。


先ほど、怒りは防衛感情だとお伝えしましたが、加えて怒りは「べき」が守られず生まれる感情でもあります。「べき」は、理想や願望、期待、ゆずれない価値観を象徴する言葉です。

「学校に持っていくものは、前もってきちんと準備しておくべき」「何回も注意される前に、きちんとやっておくべき」「注意をしたら即行動すべき」…。自分の周囲を見回すと、いろんな「べき」があると思います。自分の持っている価値観「こうあるべき」が破られて、自分の思い通りにならないときに怒りが生まれます。また、悲しい、苦しいなどのマイナス感情を抱えているとき、疲れた、眠いなどの体の状態も良くないときに「べき」が破られると、いつも以上に大きな怒りになることもあります。
マイナスな感情を抱えているとき、体の状態も良くないときは、特にアンガーマネジメントを意識して取り組むことも重要です。


許せるゾーンと許せないゾーンを認識する

アンガーマネジメントは怒る必要のあること、ないことの線引きができることが重要です。

そのために、怒りの元になる「べき」の境界線を明確にするための思考のコントロール(三重丸)に取り組みましょう。


この「べき」の三重丸の1番は「許せるゾーン」で、自分の「こうあるべき」が100%満たされるゾーンです。3番は「許せないゾーン」で、このゾーンは自分の「べき」とは違う、許容できない、つまり怒る必要のある範囲です。1番と3番しか持っていない人は、許容範囲が狭いためにイライラしがちです。

そのため、2番の「まぁ許せるゾーン」を設け、許容範囲を広げることを意識してください。「1番には当てはまらないけれど、せめてこうだったら、まぁ許せるとしよう」「最低限、こうしてくれたら2番に入れよう」といったものです。2番と3番の境界線が、怒る必要のあること、ないことの境界線です。2番を設けることで許容範囲が広がり、無駄にイライラしなくなります

イラッとしたら理性が働くまでの6秒間をやり過ごし、どのゾーンに入ることなのか、怒る必要のあることなのか、ないことなのかを見極めましょう。

なお、2番と3番の間の境界線は「どちらに入れたら後悔しないか」で決めます。


不毛な怒りを抱えず、建設的な行動の選択をする

思考のコントロール(三重丸)で許容できないゾーン(3番)に入ることでも、自分の力ではどうにもならないことは多々あります。例えば天気、電車の遅延、他人の性格や感情など、何とかならないかとイライラしても現状変わらず、自分の怒りが増すだけです。

まずは下の図を見てください。


怒りを感じ、許容できないと判断した後、どう行動すればいいのか、行動のコントロールの図で考え、建設的な行動の選択ができるようにしましょう。

もし自分で状況を変えることができる、つまりコントロールができるのであれば、上の図の左側に入ります。

ただ、自分が状況を変えられない、つまりコントロールが不可能な状況は、怒っても無意味だと考えて、現実的な選択肢を探すか、放っておくことも、一つの怒りの対処法なのです。図の右側に入るものは、例えば更年期に不定愁訴が現れることや、暑さ寒さといった天候、交通機関の乱れなどです。公共マナーを守らない人に対する嫌悪感などもこちらに入るでしょう。

こういったものは、たとえ自分が怒っても状況は何も変わりません。自分が相手にいくら働きかけても、相手の行動が変わらないのであれば、「変えられない」という現実を受け入れる必要があります。



実際に感じる日々のイライラ。ケーススタディーから学ぶ対処法

戸田 分かりました。それでは、いくつかのケースを挙げて、具体的にどのようなアプローチをすればいいのか考えていきましょう。


例1)どうしてホットフラッシュがひどいんだろうとイライラする

更年期には女性ホルモンの変化により体調不良が現れやすくなります。とはいえ、体調不良であることそのものに対して「なんで更年期になると、こんなにも体調が優れないのだろう」とイライラしても、それはコントロールできない範囲です。自分で変えられない、コントロール不能なことにイライラすると、さらに大きな怒りを抱えることにもなり、これこそ不毛な怒りです。他にも次のようなことにイライラしていませんか?

・なぜこんなにシワが増えてしまったんだろう
・なんでこんなに体力が衰えたんだろう
・なんで夜、寝付きが悪いんだろう
・なぜ電車が計画運休するんだろう
・どうしてこんなに寒いんだろう
・どうして道が渋滞しているんだろう

電車の遅延や道路渋滞、天気や寒暖などのコントロールできないことについては、「自分では変えられない、コントロールできない」ことを受け入れたうえで、これ以上の怒りを抱えないための行動選択ができるようになりましょう。

ただ、更年期の症状の一部は自身のセルフケアや婦人科に行くなどして症状を改善できる、コントロール可能なこともあるはず。更年期の症状を細分化し、コントロールできることには取り組んでいきましょう。

のぼせ・ほてり・多汗



例2)子どもがなかなか次の日の準備をしなくてイライラする

小学生の子どもに「学校に持っていくものはちゃんと用意してね」と言ったのに、準備せずに忘れ物をしてしまう、というケースを考えてみましょう。

「ちゃんと用意してね」という漠然とした言い方をしたから、子どもは自分のなかでの「ちゃんと」で頑張ったのかもしれません。「ちゃんと」の認識が人によって違うから、イライラが生まれている可能性があるのです。

私たちはよく、「ちゃんと」「しっかり」「なるべく早めに」とか、「相手の立場に立って」というような抽象的な表現を使いがちですが、自分の期待することと、相手の認識が一致しないとトラブルに発展します。「あなたが“ちゃんとやって”と言ったから、ちゃんとやったじゃないか」のように。他者に対しては、具体的な表現でリクエストする必要があります(後述)。

また、機嫌の良いときには許すのに、機嫌の悪いときには許さないという気分のブレがないように、先ほどの三重丸で説明した「べき」の許容範囲も自分のなかで明確にし、身近な相手にもそれを伝えておくことです。「あうんの呼吸」が通用すると思い込んで、「言わなくても普通分かるよね」を期待してはいけません。自分の「べき」や自分の三重丸は、言葉で説明しなければ相手には伝わりません。守りたい「べき」は人によって違うので、イライラして怒る前に、あらかじめ“自分はどうなるとイライラするのか”を伝えておいた方が良いでしょう。

なお、小学4年生と小学2年生など、学年の違う兄弟がいるとしたら、その子どもの学年に合わせて、期待する「べき」の境界線、基準を変えることもあるでしょう。同じように職場でも新入社員と入社5年目の社員とでは、基準が違うこともあります。その場合は、それぞれの基準の違いを相手に伝えておきましょう。


例3)夫が思春期の娘に小言ばかり言うのにイライラする

夫は人の気持ちを考えられないタイプで、思春期の娘にガミガミ注意します。娘も、父親が頭ごなしに怒鳴りつけてくるので反抗し、荒れてしまうという状況です。妻は、そんな状況を見るに見かねて夫に注意するものの、何回言っても夫の娘への接し方が変わりません。

夫の娘に対しての言動が許容できずイライラしているという状況を、行動のコントロールの図を使い、どうしたらいいかを考えてみましょう。


夫が夫婦の話し合いで変わってくれるなら、左側のコントロール可能という部分に入れ、いつまでにどの程度、この事態が変われば良いのかの目標設定をして、夫の行動が変わるような働きかけをしましょう。その際、夫には「娘を傷つけるようなことは言わないで」と抽象的に言うのではなく、「この間、娘に言ったこういう言動、娘はすごく傷ついたんだよ。今後、このことに関する言動は言わないでほしい」と、具体的な言葉でリクエストしましょう。

逆に、夫の小うるささが変わらず、何度やめてといっても同じことを繰り返すようであれば、それは50年、60年培ってきた夫の資質なのかもしれず、今後も変わらない可能性があります。その場合は、「夫の行動はコントロールできない」という現実を受け入れましょう。

夫は身近な家族なので、何とかできるはず、何とかしないといけないと思っていると、「コントロール可能」というエリアに入れたくなります。しかし、実際コントロールできないのであれば、夫に対しての怒りやストレスを最小限にするために、何かできることを探した方が建設的です。夫を何とか変えようと思わず、自分や娘のストレスを軽減するにはどうすると良いか、状況の改善のために、自分に何ができるかを考えていきましょう。

戸田 アイコさん、相手にリクエストするときのポイントがあるので、それもお伝えしておきますね。

まず「何を」「どのようにしてほしいか」を明確にすること。論点をぶらさず、「何を、何のために、どのようにしてほしいか」を具体的にリクエストとして伝えてみましょう。理詰めで相手を追い詰めたり、「なんで言った通りにしてくれないの。その理由を教えてよ」と詰め寄るような言い方はNG。また、「普通はこうあるべきでしょ」と自分の正しさを掲げて論破することもやめましょう。

また、相手の行動に対して怒るのは良いのですが、人格や性格、能力に対しての攻撃はしないことです。「馬鹿じゃないの?」「この仕事に向いてないよ」「使えないなぁ」といった表現も控えましょう。



日常でできるアンガーマネジメントのプチテクニック

戸田 分かりました。それでは、簡単に取り入れられる、アンガーマネジメントのテクニックや取り組みをお教えしましょう。


【アンガーマネジメントのテクニック】

①体調を整える

アンガーマネジメントをする上で、体調管理はとても重要です。体調が良くないときは、普段より大きな怒りを持ちやすいからです。

うれしい、楽しいというプラスの感情で満たされているとき、またはぐっすり眠れて体調が良いというときには、「べき」が破られても大した怒りにはならないもの。逆に、寝不足で疲れているときなどに、自分の「べき」を破られると普段より大きな怒りになるので、疲れている、体調が良くないなと思ったときには、積極的に休息を取るようにしてください。


②深呼吸をする

イライラしているときは、自律神経の交感神経が優位になっています。そのようなときはゆっくり大きく深呼吸をして、副交感神経を優位にしましょう。

鼻から3秒くらいで息を吸って、口から息を吐くときに6秒くらい、長めに吐くようにするのです。これを3回ほど繰り返すと、副交感神経が優位になって心が落ち着き、自律神経も整います。



③怒りを感じたら数値化する

怒りを感じたら、6秒間やり過ごすために、その怒りがどのくらいのレベルかを頭のなかで数値化するのも良いトレーニング法です。


0が穏やかな状態、10が人生最大の怒りとするなら、イライラを感じた瞬間に、「この怒りは、0から10までの怒りのゲージのなかで何点だろう」と考えてみてください。点数をつけることに意識を向ける間は、怒りに任せた衝動的な行動はできません。また、怒りに振り回されないためにも怒りを数値化し、客観的に捉えることも重要です。

「今の私の怒りは、この間の3点の怒りよりも、少し大きいから5点くらいかな」

このように怒りを客観的に捉えて数値化してみてください。


④怒りが鎮まる言葉を思い浮かべる

イラッとした瞬間に、自分の気持ちが落ち着く言葉を唱えることで、6秒を過ごしやすくなるという方もいます。例えば…

・このくらい大したことない
・死ぬこと以外かすり傷

このような好きな言葉やフレーズを思い浮かべると心が落ち着いたり、ほかには

・大好きな芸能人や自分の可愛がっているペットの名前
・好きな食べ物

などでも構いません。自分の怒りが鎮まる言葉を用意しましょう。


⑤気持ちが落ち着く画像を見る

気持ちがほっとするような写真を、スマホの待ち受け画面にしておく人もいます。怒りを感じたときに見るようにするのです。

例えば、自分の子どもの赤ちゃん時代の最高に可愛いときの写真、可愛がっているペットの写真など。スヌーピーとウッドストックを待ち受けにしている人もいますので、好きなキャラクターもおすすめです。イライラを感じたら、見るように習慣付けておくと、違うところに意識をそらせる訓練ができます。


⑥気分転換メニューを準備しておく

気分転換にかけられる時間ごとにメニューを事前につくっておくのもおすすめの方法です。イライラしているときには、何をすれば気分転換になるかなど思いつかないので、事前に準備しておくと良いでしょう。

例)
5分あったら… ストレッチをする、美味しいコーヒーを淹れる、アロマスプレーを持参し気分転換にハンカチにシュッとかける
20分~1時間あったら… セロトニンが出て気分が上がりやすい有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、ストレッチ、水泳)をする 
半日あったら… 動画配信サービスで好きな動画を見る、好きな本を読む
1日あったら… ドライブに出かける、温泉に出かける、ペットと遊ぶ

なお、気分転換のメニューには不適切なものもあります。例えば依存性が高まるであろうやけ酒、やけ食い、ギャンブルなどはやめましょう。

リラックスする女性



⑦自分の“取扱説明書”を理解しておく

アンガーマネジメントは自己理解がスタートです。日頃から、自分の取扱説明書をつくっておくとよいでしょう。

・自分がどんなことで怒りを感じやすいか
・自分が大切にしている「べき」は何か

自分の怒りのパターンを客観的に把握しておくと、どのようなシチュエーションでイライラするか分かり、事前に対策が立てられます。

・寝不足だとイライラしがち
・仕事が重なって焦っていると怒りやすい
・お腹が空いているときに、イライラしやすい
・不安なこと、困りごとを抱えていると、普段より気持ちが落ち着かない

このように自分のイライラしがちなパターンを理解できていれば、怒りのコントロールに役立ちます。


⑧家族やパートナーにも自分の現状を共有する

人間なので困ったり、心配したり、不安を感じたりすることもあると思います。そのようなときは、「べき」が破られた瞬間に大きな怒りにつながる恐れがあります。それを自覚できているなら、家族やパートナーには自分の状況を事前に説明しておくのもおすすめです。

「今、ストレスを抱えていて、普段よりもイライラしやすい状態なの」と自分の置かれた状況を家族と共有しておくと、家族もきっと協力してくれると思います。




アンガーマネジメントで、これから先の人生を生きやすくしよう

戸田 繰り返しになりますが、アンガーマネジメントとは怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。トレーニングという意味では、ダイエットや筋トレと同じ。1日食事を調整したり、1日スポーツを頑張ったりしたら、翌日すぐ結果が出るということでもないですよね。1回トライしてダメだったから諦めるのではなく、何度も繰り返し挑戦して身に付けましょう

アンガーマネジメントは誰にでも取り組めますし、継続すれば必ず身に付きますので、できるところから少しずつ取り組んでほしいと思います。アンガーマネジメントに取り組んだ多くの人が、生きやすくなったと言ってくださいます。

アンガーマネジメントを学ぶと、無駄な怒りに振り回されたり、怒りで自己嫌悪に陥ったりすることもなくなり、心穏やかに過ごせるようになりますよ。ぜひ、皆さんも長い目で見ながら取り組んでほしいなと思います。

戸田 もちろんです!私がアンガーマネジメントをし始めたのは、息子がもう高校生になったときでした。「この考え方、もっと早く知っておきたかったなぁ」と思ったものです。

でも、始めるのに遅すぎるということは全くなく、アンガーマネジメントを知ることで、自分の人生をいろいろ俯瞰できるようになりました。

「こういうときに怒りを感じたんだな」「私は長い目で見たらこの選択をすべきなんだな」そんなことも感じることができるようになりました。


戸田 久実 先生
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事
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アイコ

アイコ
43歳。夫と小学生~中学生の子ども3人の5人家族。子育てをしながらパート勤務をこなし、毎日忙しく過ごしている。2年前からホットフラッシュやイライラ、不安感、気分の落ち込みに悩む。最近では、物忘れや高血圧、白髪、抜け毛の症状も。

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