更年期にチャレンジしたいお灸を徹底調査。ツボを刺激して快適に

セルフケア
大人女子が突撃取材!お悩み解決隊


更年期世代の体調の悩みを、読者代表のヴィーナスが専門家に相談して解決策を探す「お悩み解決隊」。今回のヴィーナスは、管理職として日々忙しく働いているナオミです。肩こりや生理の悩みがある彼女はお灸に興味があるものの、どんな治療法なのか不安でいっぱい。医師で漢方と鍼灸の専門外来でも活躍している伊藤剛先生を訪ね、初心者でも挑戦できるお灸について詳しく伺いました。



更年期にお灸がおすすめの理由とは

伊藤先生(以下、伊藤) そうでしたか。お母様のおっしゃるとおり、お灸は肩こりや倦怠感、不眠や月経不順などの更年期症状にお悩みにも効果が期待できるんですよ。


【お灸で楽になる症状】

体のこり … 交感神経の緊張により筋肉内の血流が低下し、強ばりを起こすと同時に発痛物質により痛覚過敏状態になります。そのため通常、こっている筋肉を押すと圧痛が起こります。お灸をすると血行が良くなり、筋肉の緊張が緩和されます。

倦怠感 … 体の筋肉の緊張やこりと同時に、引き起こされた脳内の血流低下が関係しています。お灸によって血行が良くなり、疲労が溜まりにくくなります

不眠 … 眠るには体の緊張が緩み、血流が増え体温が上がる一方、脳の血流が減り脳温が下がらないと眠れません。しかし体の緊張、特に背中の緊張が持続すると体がリラックスできず、脳内の温度が下がらないために寝付きが悪くなったり、眠りが浅く途中で眼が冷めやすくなったりします。お灸は、自律神経を整え、体の緊張をほぐして、体を温め、睡眠の質を高めてくれます

月経不順や月経痛 … 子宮や卵巣の血流が低下し子宮内膜の発育や卵巣のホルモン分泌機能などに影響した結果、起こることが多いです。お灸は子宮や卵巣の血流を改善し、ホルモンバランスを整え、体を温める効果があります。


お灸には、ほかにもいろいろなメリットがあります。


【まだある!お灸のメリット】

・皮膚、筋肉、脳、内臓内の血流と機能の改善
自律神経を整え、痛みを抑え、ホルモン分泌を促し、免疫機能を高める効果が期待できる
白血球増加作用
・副腎皮質刺激による副腎皮質ホルモン分泌作用
・変性した細胞のたんぱく質を正常化するヒートショック・プロテイン(熱ショックたんぱく質)の産生
・皮膚などの温度受容体の一部が影響を及ぼす痛みに対し、痛みを抑える作用


世界的にもお灸の効果は評価されていて、現在アフリカでは結核をお灸で治療する「モクサアフリカ」運動が広まっているんですよ。

伊藤 お灸はかなり古くからある治療法なんですよ。

お灸は、ツボ(経穴)に熱刺激を加え、体の異常を治す治療手技ですが、中国の発掘調査によると、お灸は古代中国で、鍼よりも早い時期から行われていたと推測されています。紀元5世紀以降に湯液(漢方薬)や鍼と共に日本に伝達。鎌倉時代にはお寺での施灸が盛んになり、お灸は全国に広がりました。

江戸時代には健康増進のため、一般庶民の間で足三里に灸をすえることが広まっていきます。旅をする場合は、健脚と消化機能の維持のため毎日“足三里”というツボ(後述)にお灸をすえたものでした。松尾芭蕉の『奥の細道』の冒頭に「足の三里に灸すえるより…」とあるように、旅に出るときは、足が疲れたり食欲が低下したりしないように毎日足三里にお灸をしながら旅を続けたのです。


お悩み症状別、お灸をすると良いツボをチェックする



不調に効くならやってみたい!初心者からの“お灸ことはじめ”

伊藤 お灸で肌の上に置いているのは、少量のモグサ(艾)です。そのモグサに火を付けて、モグサの燃える熱で異常のあるツボを刺激し、体の異常を治療するのがお灸の仕組みです。モグサを置くツボ(経穴)は、鍼を打つ体のツボと同じです。

モグサはヨモギの葉を乾燥させ、臼でひき、葉の裏についている白い毛茸(もうじょう)を集めて乾燥させたものです。ヨモギの精油成分は加熱すると香りますが、モグサの香り成分にも鎮痛鎮静作用やリラックス効果があるとされています。

お灸は大きく、「有痕灸」と「知熱灸」、「温灸または間接灸」に分けられます。


【お灸の種類】

有痕灸 … 皮膚にモグサを直接置いて燃やし、火傷の痕を残します。

・透熱灸(皮膚に直接モグサを乗せて線香で火をつけ、熱を通す)
・焦灼灸または直接灸(イボや魚の目を焼き切る)
・打膿灸(大きなモグサで皮膚に火傷を生じさせ、その回復力を利用する)

知熱灸 … 熱さを感じたらすぐに指でお灸の火を消して、またその上にモグサを乗せ、火を付け、熱さを感じたらすぐに火を消しながら、数壮(壮はお灸の数え方)のお灸を行います。お灸ができない部位にもでき、痕が残りません。

温灸または間接灸 … 皮膚とモグサが直接触れないようにし、輻射熱(ふくしゃねつ)で温めます。皮膚とモグサとの間に空気、ニンニク、ショウガのスライスや、塩、味噌など介在物を入れて行います。

・隔物灸(肌とモグサの間に、ニンニクやショウガのスライス、塩や味噌などを置くお灸)
・台座灸(ボール紙の上にモグサが付いていて、火傷しにくくなっているお灸)
・温筒灸(円筒のなかのモグサと皮膚との間に空気の隙間を作り、患部を温めるお灸)
・棒灸(モグサを棒状にして和紙で包み、幹部に近づけて温めるお灸)
・箱灸(箱のなかにモグサを入れて火をつけて、体の上に置くお灸)
・灸頭鍼(きゅうとうしん:鍼とお灸を融合させた治療法。皮膚に刺した鍼の柄の部分にモグサをつけて燃やし温める)

伊藤 そうですね。鍼と同様に異常反応を示すツボにお灸をすえると、神経を刺激すると同時に、鍼にはない温熱刺激効果により、緊張した交感神経の緊張を緩めたり、副交感神経を活性化したりできます。

伊藤 初心者でも使いやすいお灸は、火を使いつつ、主に患部を温めるために用いられる温灸が良いと思います。現在、漢方薬局のほか、一部の薬局でも入手できるので、気軽に試せますよ。使用する際は、それぞれの商品の説明書をよく読んでから始めましょう。有痕灸は必要がある場合には、鍼灸師(きゅう師)など専門家に実施してもらうか、指導の下にツボの位置を決めてもらい行うのが良いでしょう。


【初心者でも使いやすいお灸】

●温灸
・台座灸
・棒灸
・温筒灸(筒のなかにモグサを入れ、皮膚との間に空気を介在させます)

●太陽灸(火を使わず煙も出ないカイロを小さくしたような発熱剤によるお灸)


現在、火を使うものとして、間接灸の一種である台座灸と言われる種類のお灸が各社から発売され、女性の間でも比較的手軽にできるお灸として流行っています。台座灸は、厚紙でできた丸い台座のシールを剥がし、反対側に乗っている小さなモグサに火を付けて、目的のツボのある皮膚に貼り付け、モグサが燃え尽きたら皮膚から剥がすというお灸です。最近では、煙の出ない台座灸もあります。

また火を使わない発熱剤によるお灸(太陽灸)も発売されています。これは1日1回、3時間以内、皮膚に貼るだけのお灸で火傷の心配もありません。

火を使うお灸の場合は、以下のアイテムを用意すると良いでしょう(火を使わないお灸の場合は必要ありません)。


【準備するもの】

●線香
モグサを直接用いる場合(直接灸)の火付け道具としては、昔からお線香が用いられてきました。マッチなど炎が出る火種では、小さなモグサに火を付ける場合に、周囲の皮膚に熱が広がり火傷を起こす危険があるからです。

●ライター
直接灸などで用いる線香に火を付ける場合でも、台座灸など間接灸に火を付ける場合にもライターが便利です。マッチだと燃焼時間が短く、点火する前に燃え尽きたりして不便です。

●ピンセット
お灸の途中で熱くなって取り除きたいときに、素手では火傷をする可能性があります。そのため少し大きめのピンセットがあると安心です。江戸時代には火箸のような箸を用いていたようです。

●水
万が一、火がこぼれたり、周囲に燃え移ったりした際に、すぐ消火できるように容器に水を準備したり、水で濡らした布(タオルやぞうきんなど)をそばに置いておくと安心です。

●お盆・皿・灰皿など
お灸の灰や使用後の台座灸などを入れるものとして、陶磁器の皿または灰皿を用意しましょう。またそれらを含め、お灸に用いる道具類を載せるためにお盆のような浅い入れ物があると便利です。


【お灸に適する時間や頻度】

お灸に適した時間は特にありませんが、就寝直前は刺激が強いのは良くないので避けたほうが良いでしょう。
頻度は、少数のツボであれば毎日でも行うことができます。症状が改善したら頻度も減らすなど、症状の具合を見ながら回数を調節すると良いでしょう。


【お灸をする際の注意点】

・お灸は火を使うので、透熱灸(直接灸)では大なり小なり火傷を生じる可能性が高いです。
輻射熱で温める温灸(間接灸)でも、皮膚が弱い方や、火が皮膚の上にこぼれたりすれば火傷を起こす可能性はありますので、十分注意する必要があります。

・火を扱うので火の不始末による火事にも注意が必要です。通常はモグサから火がこぼれても、床や衣類を焦がす程度で済みますが、水を用意して素早い消火ができるようにしておきましょう。

・お灸をする場所も床やテーブルの上など、下や周囲には燃えやすい物がない安定した場所ですること。室内で行うと煙が充満するため、できれば換気のできる窓近くですることをおすすめします。

・お灸も一度に多くし過ぎると「灸あたり」といって、体調が悪くなることがあるので注意してください。

【お灸が適さない体質や症状】

どちらかというと冷えがある状態にはお灸が適する場合が多く、熱がある状態には鍼が適応になることが多いです。また専門的な判断が必要な場合もあるため、不明な場合や以下のような方は、施術前に鍼灸師や鍼灸に精通した医師などに相談すると良いでしょう。

・体力が著しく低下している方
・高齢者
・重度の糖尿病を患っている方
・高熱ある方
・進行がんなどの消耗性の病気の方
・浮腫のある病気などを患っている方



肌の上で火を燃やすなんて熱そう?…実はお灸は意外と“熱くない”

伊藤 お灸を不安に思う一番の原因は、火傷の問題だと思います。昔はわざわざ火傷を生じさせて治療するお灸もありましたが、現在は一般的にもできるだけ火傷を起こさないようなお灸が行われています。また火を使うので、火事などを起こさないよう、十分な注意が必要ですが、適切な準備をして行えば、それほど心配はありません。

前述したように、最近は台座灸が手軽にできるお灸(温灸)として女性の間でも広まっています。東京の銀座には、お灸のメーカーが出店している「お灸サロン」などがあり、お灸のすえ方などを指導してもらい、気軽に体験できる施設もあります。

特に、女性は、冷え症、月経困難症、不妊症、食欲低下など男性に比べていろいろな症状が出やすいため、江戸時代には一般庶民の間でも、女性が盛んにお灸をしており、浮世絵にもお灸をする女性の版画があるくらいです。温めて治療するお灸は女性にとって魅力的なセルフケア。お灸愛好家の女性は、最近では「お灸女子」と呼ばれています。

伊藤 お灸のモグサが燃える燃焼温度は110~130℃ですが、皮膚の上で燃焼するときの温度はおよそ60~80℃といわれています。たばこの火の燃焼温度が800℃といわれているので、お灸の温度がいかに低いか分かっていただけると思います。このように燃焼温度が低いことが、モグサが用いられてきた理由なのです。

それでもそのまま肌の上でモグサを燃やし続ければ火傷を起こします。昔は透熱灸がよく行われていて、親指大のモグサを燃やし、わざと火傷を起こして治癒力を誘導する透熱灸は、熱さを通り越し痛みを感じるほどでした。

しかし現在行われているお灸のほとんどは、温灸と言われる間接灸か、直接灸の場合でも米粒から小豆大ほどの小さなモグサを用いた点灸や知熱灸など、少し熱さを感じるものから温かさを感じたりするものが主流です。熱さの感受性は個人差がありますので、自分で行うときは、温める程度の軽いお灸から始めると良いでしょう。

伊藤 シャワーであれば34℃ぐらいのお湯を10秒から30秒ぐらい、目的とするツボの辺りにかけ続けるのもある程度代用にはなります。ペットボトルにお湯を入れて直接皮膚に当てるペットボトル温灸という方法もあるのですが、ペットボトルだと面積が広いため火傷を起こすこともあるので注意が必要です。いずれにせよ、適切なツボにお灸をする場合に比べ、効果は限定されます。



お悩み症状別、お灸におすすめのツボをご紹介

伊藤 分かりました。では一般の方でもお灸がすえられるツボをご紹介しましょう。ただし、背中や腰など体の後ろ側にあるツボは、他の人や鍼灸師にすえてもらう必要があります(ソフトボールによるツボ押しであれば、自分でセルフケアできます)。

なお、鍼灸で良く用いられるツボであっても、髪の毛などがあったりしてお灸ができない場所もあります。頭頂部付近にある百会のツボは痔などの治療点としてお灸もしますが、その場合は髪の毛を避け、小さく細い糸状灸を用い、出来るだけ髪の毛が抜けないよう配慮しながらすることもあります。以下に、お灸がしやすく効果のある代表的なツボを紹介します。


【お灸におすすめのツボ】

●更年期障害
三陰交(さんいんこう:うちくるぶしから指4本上の位置)
ほかには…太衝、血海、胞肓

●不安・気分の落ち込み
身柱(しんちゅう:首を前に倒すと飛び出す首の後ろの突起から3つ下の突起の真下)
ほかには…列缺、足三里、湧泉

●イライラ
内関(ないかん:手首の内側で、手首のしわから指3本分空けたところ)
ほかには…玉堂、三陰交、太衝

●疲労・倦怠感
足三里(あしさんり:ひざのお皿から指4本下のすねの外側)
ほかには…膏肓、湧泉

●不眠
失眠(しつみん:かかとの真ん中あたり)
ほかには…膈兪、八風、内関

●眠気・集中力低下
湧泉(ゆうせん:足の裏の土踏まずの斜め上辺りで、 足の指を曲げて一番へこむ場所)
ほかには…肩井、湧泉

●足の冷え
腎兪(じんゆ:ウエストのくびれた部分の、背骨から指2本分外側の左右)
ほかには…八風、湧泉、築賓、三陰交

●肩こり
肩井(けんせい:首のつけ根と肩先の中間)
ほかには…合谷、外関、天髎、肩中輸、曲池

●めまい
中渚(ちゅうしょ:手を握ったときに小指と薬指の関節にできるくぼみ)
ほかには…太衝、足臨泣、内関

●頭痛
後溪(こうけい:小指の付け根の関節から1.5cmほど下の位置)
ほかには…崑崙、列缺、合谷、足三里

●月経痛・月経不順
血海(けっかい:太ももの内側で、膝のお皿から指幅3本上の位置)
ほかには…三陰交、次髎、関元、太衝

●腰痛
志室(ししつ:肋骨の一番下の高さで腰に手を当て、背骨に向けて親指をすべらすと触れる硬い場所)
ほかには…腎兪、大腸兪、委中、腰痛点

●頻尿
曲骨(きょくこつ:おへそから親指5本下の位置)
ほかには…関元、中極、膀胱兪、陰陵泉

●尿漏れ
中極(ちゅうきょく:おへそから指4本下の正中線上の位置)
ほかには…関元、三陰交、腎兪

●便秘
大横(だいおう:おへそから横に指4本分の左右)
ほかには…足三里、天枢、大腸兪、支溝、大巨

●眼精疲労
旁谷(ぼうこく:足の中指と薬指の間の骨のくぼみから2cmほど下)
ほかには…玉沈、太衝、風池

なお、全身のツボのなかにはお灸はしない禁灸穴(きんきゅうけつ:灸をしてはいけない経穴)とされているツボもあります。例えばデリケートな部分のツボ、脳の延髄に近い後頭部の瘂門穴(あもんけつ:後頭部の首の付け根にあるくぼんだ部分)も禁灸穴の一つです。使用時には専門的な知識と技術が必要です。



もっと知りたいお灸とツボのQ&A

伊藤 もちろんです。


Q. 鍼灸院と自宅、どちらでお灸を行うのがおすすめですか?

A. 鍼灸院でお灸を行うメリットは、鍼灸医学的診断に基づいて治療ができることです。鍼が適する部位や状態には鍼を用い、お灸が必要な場合には、治療にもっとも適しているお灸を用いることができます。例えば、直接皮膚に乗せる直接灸や、皮膚とモグサの間に介在物を入れて行う間接灸、鍼の柄にモグサを付けて行う灸頭鍼など、個人では難しい方法を取り入れることができます。デメリットは、毎日治療を受けることが難しいという点です。

一方、セルフケアとして自宅で行うお灸は、毎日でも自分の都合に合わせて手軽に行える点はメリットだと思います。ただ、ある程度ツボの数や場所は限定され、場所も自分の手の届く範囲と限られてしまうのがデメリットです。

どちらにも良さがあるので、ご自身のライフスタイルに合った方法でお灸をすればいいと思います。

なお、初心者でどのツボにお灸をすればいいか不安な場合は、一般用の鍼灸の解説書を読んでみると良いでしょう。また、専門の鍼灸師(きゅう師)に相談し、お灸を施すツボに実際にお灸をしてもらったり、ツボに印(灸点)をつけてもらったりすれば、より簡単にお灸をすることができます。


Q. お灸には即効性はありますか?

A. 年齢、体質、症状の期間にもよりますが、痛みなどの症状を治療する場合は、お灸をした直後に効果を感じることが多いです。一方、体質による症状への効果は、時間がかかる場合もあります。


Q. お灸で更年期の不調は改善できますか?

A. 前述のとおり、更年期症状の改善は期待できます。

それとともにお伝えしたいのは、更年期症状と思われている症状のなかには、実は老化現象である場合も多く見られるということ。更年期症状に限らず、そうした老化を予防するためにお灸が役立つことがあります。

お灸による老化予防とあわせて改善をおすすめしたいのは、運動不足と悪い姿勢です。座っている時間が長いと、背中が丸まり猫背や首・肩こり、緊張性頭痛の原因になります。それはお尻の梨状筋(りじょうきん:お尻の奥にある筋肉)が硬くなり、坐骨神経や足への交感神経を圧迫緊張させ、足の冷えや痺れを引き起こすことが多いからです。

毎日、適度な運動やストレッチ、ウオーキングなどを行うことも老化予防になりますよ。


Q. お灸ではなくツボ押しにする場合、コツはありますか?

A. 指圧を行う場合は、鍼灸の本に掲載されているツボの位置を自分で押してみてください。鈍痛(圧痛)を感じる場合は、異常のあるツボ、つまり押すと効果のあるツボでもあるので、そのツボを親指や人差し指などで押してみましょう。ハンコを押す程度の力で大丈夫です。

なお、ツボ押し棒などの器具は、使うと皮膚や筋肉を痛めることがあるので、使わない方が良いでしょう。背中など、自分で押しにくい所は、仰向けに横になり、置いたソフトボールの上に背中を乗せて、ツボを押すソフトボールツボ押しがおすすめです。

Q. 友達にお灸をしてあげても良いですか?

A. お灸も指圧も、実際に行うためには基本的な経絡や経穴についての知識や施術法についての知識と実習が必要です。十分な知識を持たずに他人にお灸をすると、火傷や外傷など医療事故を起こした場合には責任問題が生じますし、施術の対価としての金銭の授受も法律上できません。

仕事として行うためには、「はり師」同様、鍼灸専門学校や鍼灸大学で学び、国家試験を受け、お灸は「きゅう師」、指圧は「あんまマッサージ指圧師」か「柔道整復師」という国家資格が必要になります。

ちなみに自分にお灸をする場合や家族内で行う程度であれば、特に免許は必要ありません。



お灸は更年期以降の人生にも役立つ。体調を整えたかったら、する価値あり!

伊藤 それはよかったです。お灸の反応には個人差があり、不調な症状も千差万別ですので、どこのツボを使うかは、その方を診察しなければ決められませんが、江戸時代に庶民がすえていた足三里のツボは、最近、副交感神経を介して消化器症状を改善させるだけでなく、免疫機能を高める特異的なツボであると研究により明らかになったんですよ。

ただ、お灸は10年後の健康を約束するようなものではありません。お灸をして心身に良い傾向を感じられたなら継続すれば良いと思います。

伊藤 更年期症状は人により異なり、症状の出る時期もそれほど長くはありません。しかし更年期以降はむしろ老化による症状が問題になってきます。そうした症状を軽減し、元気に暮らしていくためにも、お灸は役に立ちます

最近では簡単に行える台座灸も手に入れやすくなっていますし、本やネットなどでもお灸の仕方を説明しているものもあります。分らない場合は鍼灸院で治療を受け、鍼灸師に灸点を教えてもらったり、お灸サロンに問い合わせたりすることもできます。体調を改善したいと思う方は、ぜひお灸にチャレンジしてみてください。

<この記事を監修いただいた先生>

伊藤 剛 先生
北里大学客員教授、北里研究所北里大学北里研究所病院 漢方鍼灸治療センター医師
詳しいプロフィールを見る

ナオミ

ナオミ
52歳。未婚。仕事では管理職としてバリバリ働いている。約1年前から頭痛や肩こり、目の疲れがひどくなり、最近では高血圧や高コレステロール、肌の乾燥の症状も。生理周期が極端に短くなってきているのが悩み。

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