40代のカラー診断。大人世代の「似合う色」とスタイリング

セルフケア


更年期世代のお悩みを、読者代表のヴィーナスが専門家に質問し、解決していく「お悩み解決隊」。今回は、このところ顔のくすみが気になり、ファッションが映えない気がしているという48歳のユミコが、カラー&イメージコンサルタントの染川千惠先生のもとを訪ねました。色を知り尽くしている先生のアドバイスに、ユミコの服選びが変わりそうな雰囲気です。


40代になると、似合う色が変わる?その理由とは

ユミコ 先生、最近、顔色のくすみが気になり始めています。お気に入りの服が前より自分に似合わない気もするし…。

染川先生(以下、染川) ユミコさんは48歳でしたね。肌のくすみは、年齢も関係しているかもしれません。大人の女性は、加齢や筋肉量の減少に伴って代謝が落ちてきます。乾燥や色素沈着を重ね、ターンオーバーのサイクルが長くなるので、肌に古い角質がとどまりやすくなることも。その影響で、顔色、特に肌そのものの色のくすみが引き起こされると考えられています。

また、更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)が減少します。エストロゲンの働きに、肌の潤いを保つ効果がありますが、エストロゲンの分泌が減少することで皮膚の水分量が減り乾燥しやすくなります。これが、肌がくすんで見えるようになった一因とも考えられますね。

実は顔色がくすむと、似合う色も変わってくるんです。カラー診断では、人の肌、毛髪、目の見え方の変化を確認しています。加齢とともに肌、毛髪、目の色や状態が変化すれば、そこに合わせる色(=パーソナルカラー)も変わるのはある意味自然なことなんですよ。

ユミコ え、年齢とともにパーソナルカラーが変わることもあるんですね。年齢とともに似合う色が変化しているなんて考えてもいませんでした。


▼40代からの色選び、スタイリングのコツをチェックする


40代に似合う色はどんな色?つい選びがちなベーシックカラーの落とし穴

ユミコ それでは、私のような大人世代は、どんなことに気を付けて色を選べばよいのでしょうか。

染川 40代に似合う色としては、基本的に発色の強い色がおすすめです。くすみがちなお肌に透明感やハリ、血色を与えやすくしてくれます

皆さん、失敗の心配がない、無難な色を選びがちな傾向がありますが、ベーシックカラー(白、黒、ベージュ、ブラウン、グレー、ネイビーの6色)のコーディネートだけではもったいないケースが多いです。「常にベーシックカラー」は卒業し、ぜひ色ものに挑戦してハッと息をのむような素敵さを出してほしいです。トップスや巻物、アクセサリーなど、バストアップに位置する色は顔映りに大きく影響するので、ここに色ものを取り入れるといいですよ。

ユミコ それ、まさに私です。いつも、着ていて安心感があるベーシックカラーを選びがちでした。

染川 無難だと思われているベーシックカラーであっても、その人に似合う色と似合わない色があり、それを見分けるのは色もの以上に難しいんです。似合わないベーシックカラーを身に着けると、無難というよりむしろ、地味、貧相、元気がないなどの印象を与えてしまいます。その一方、色を使いすぎた着こなしも、他者目線で見たときに、素敵に見えないことが多いのです。似合う色を適度に、というさじ加減が大切です。

ユミコ ここ最近のトレンド、くすみカラーはどうですか。

染川 トレンドカラーはたくさん販売されるので買いやすくなるのですが、日本人はくすんだ色が似合わない人が多いんです。むしろ、清色と呼ばれるすっきりした色で肌や髪の艶や透明感を増して見せたり、輪郭をしっかり見せたりするほうが、顔がより美しく見える人が多いですね。

ユミコ 自分が似合うと思って選ぶ色と、他人から見て素敵に見える色は違うんですね。今の自分にはどんな色が似合うのか、改めて確認したくなりました。




パーソナルカラー診断で知る「今の自分に一番似合う色」

ユミコ 肌のくすみが気になる年齢だからこそ、自分をより魅力的に見せてくれる色選びが必要なことは分かりましたが、どうやったら今の自分に似合う色が見つけられますか。

染川 簡易的に自分で調べたいなら、チャートからチェックする方法があるのでご紹介しましょう。ポイントはあくまで「客観的に診断する」こと。主観的に好きか嫌いかで見ていくと、結果にズレが生じてしまいます。

【セルフチェックチャート】

似合うかどうかを判断しているのは自分以外の他者ですから、他人からの目線を意識して「自分自身が素敵に見える色」を見つけてください。


染川 チャート診断以外に、屋外の白っぽい背景の前で、違うコーディネートで10パターンほど全身写真を撮り、結果を比較してみるという方法もあります。これならチャートよりもさらに客観的な目線で、自分に似合う色、似合わない色を見分けることができます。

ユミコ なるほど…。でも屋外で10パターンも白い背景の前で撮影するのは、私にはちょっとハードルが高そう…。

染川 それなら、パーソナルカラー診断にトライしてみてはいかがでしょうか。パーソナルカラーの診断をしているサロンに足を運んでもいいですし、Web上でできる「オンラインパーソナルカラー診断」もおすすめですよ。

ユミコ パーソナルカラー診断は、サロンでやってもらったという友達の話を聞いたことがあります。今は、オンラインでもパーソナルカラー診断が受けられる時代なんですね!いまひとつイメージがわかないのですが、それぞれどんな診断なのか教えてください。


【パーソナルカラー診断】

サロンでは、カラーリストが多角的にパーソナルカラーを診断してくれます。アンケートに記入した後にヒアリングをしてもらい、パーソナルカラーの診断や分析を経て、コンサルティングを受けます。場合によってはメイクやスタイリングをする場合もあります。

カラー診断では「ベースカラー」「明るさ(明度)」「発色の強弱(彩度)」「クリア度(清濁)」の4つの特徴から、自然にシーズンが割り出されます。シーズンというのは、タイプを「スプリング(春)」「サマー(夏)」「オータム(秋)」「ウィンター(冬)」の季節色で分ける基本的な分類法です。 

対面のパーソナルカラー診断なら、例えばシーズンが「スプリング」と出たとしても、「黄み強め」「明るさ中間」「発色やや強め」「クリア」「黄みやや強め」「濁り感ややあり」…などと、さらに細かく診断を加えたうえで、最終的にその人にとってのベストカラーを導き出してくれます。


いくつもの布を当てながらその人に一番似合う色を調べ、重要度の高い色の特徴(明るさが大事、青みが大事など)と、シーズン、ベストカラーなどを説明します。


対面診断だと、場合によってはメイクやファッションアイテムを使ったスタイリングのアドバイスが受けられるメリットも。


一口に4シーズンといっても、各カテゴリーにはこれだけの色があります。このなかから本人にとってのベストカラーをアドバイスしてくれます。


【オンラインパーソナルカラー診断】

サロンに足を運ばず、自宅の端末を使ってオンラインでパーソナルカラー診断を受けるサービスも増えてきました。コロナ禍以前は、診断希望者から送ってもらった写真にカラーツールを当てて判断するサービスが多かったのですが、この方法だと同一空間下に診断を受ける人とカラーツールがないため、正確な色比較ができません。

そこで、私の会社では光源の課題をクリアできるような方法で実施しています。カラーリストの指示で、いくつかの端末で見比べてもらうなど、色の4つの特徴「ベース」「明度」「彩度」「清濁」をスケールで分析できるように設定して行ってもらえれば、正しい診断ができるようになっています。


オンラインパーソナルカラー診断は、遠方のカラーリストにサービスを受けるハードルが下がり、非接触でサービスが受けられるというメリットがあります。


ざっくりと自分の色の特徴やシーズンまで分かればいいなら、オンライン診断が短時間で手軽です。診断を受ける人が専用シートをご自身に当てるため、参加する楽しみも。


4つのシーズン別 40代からのスタイリング術

ユミコ 最近、ショッピングに行くと、シーズン別のコーディネートを提案しているショップが多くあります。自分のシーズンから服を選ぶ際、更年期世代はどんなことに気を付けて選べばよいでしょうか。 

染川 チャートやパーソナルカラー診断でご自身のシーズンが分かったら、大人世代がより魅力的に見える色という意味で、以下のポイントを念頭に置いて服を選んでみてください。


スプリング

発色が強めの色や明るい色が得意な人が多い印象です。普段発色や明るさを控えめにしている人は、ぜひ思い切って「少し派手かな?」と思うくらいの色を選んでみてください。濁り感の強い色や暗い色を多用しないようにしましょう。


【サマー】

明るめの色や青み成分が多くクールな色が得意な人が多いですね。このシーズンの方は、ローズピンク、レモンイエロー、ミントグリーンなど、青いインクを足したような色を選ぶと、エレガントに見えます。黄みの強い色や暗すぎる色は、清潔感まで損なわれて見えがちなのでご注意を。


【オータム】

黄みと濃さが感じられる色を選ぶと高級感が漂う人が多いです。濃いサーモンピンク、マスタードイエロー、抹茶色など、渋い色にぜひチャレンジしてみてください。明るすぎる色や青みの強い色は、不健康に見えがちなため避けたほうが無難です。


【ウィンター】

このシーズンに当てはまる方は、ビビッドな色や濁り感のないスッキリした色で存在感が増します。白黒もかっこよく決まる人が多いです。ふんわり優しいパステルカラーや濁り感の強い色は、印象に残りにくくなるため気を付けてください。



ユミコ 似合わないと分かっていても、どうしてもトレンドカラーをコーディネートに取り入れたい場合は、どうすればいいでしょうか。

染川 ワンピースやオールインワンのように大きな面積でチャレンジするよりは、バッグやシューズなどの小物類など、小さなところに取り入れることでおしゃれ感が引き立ちます。流行色であるものの、実は自分に似合わない色の場合、顔の近くに大きな面積で取り入れなければOK。顔と離れた位置にトレンドカラーのアイテムを持ってくれば、顔映りには影響がありません



色にはパワーがある。更年期症状にはこんな色をプラスして

ユミコ なるほど、「似合う色しか着るべきではない」ということでもなさそうですね。色選びって奥が深いです。

染川 そうですね。人って、着ている色に心理状態も左右されたりするんですよ。似合う色の服を着ていると安心でき、自己肯定感が高まる人が多いんです。服を堂々と着こなせるようになると、自分に自信が持てるようになりますよね。そこから言動にポジティブな変化が現れ、心身ともに健康的な状態になっていくんです。

そのうえ、似合う色の服を身に着けていると、健康的で魅力的に見えますし、その人本来の美しさがにじみ出ます。若々しく見えたり、清潔感がアップしたり、洗練された高級感を感じさせたり…、たくさんのメリットがあります。そのため周りの人からほめられることも増え、自分の自信につながって笑顔が増えたり、背筋が伸びたり、動きが颯爽としてきたりという行動の変化につながるわけです。

発色を実感できる色は、心身への作用も大きいため、気持ちと体調の調整をするにはうってつけ。似合う色のなかから鮮やかな色を選んで取り入れてみるとよいでしょう。少し科学的な話になりますが、色はそれぞれの色ごとに発するエネルギーの種類が異なります。そのため、色が心身に与える作用も変わります

例えば更年期症状に悩んでいる方にも、症状別におすすめできる色があります。お悩みに応じた色を取り入れれば、色の波長の作用で心身に良い変化が期待できるかもしれません。ちなみに、色彩の身体への作用という側面から見て、大人の女性にピンクはとってもおすすめできる色なんですよ。

【更年期症状別 おすすめカラー】

気分の浮き沈みや不安感 … ピンク、ベージュ
無気力や憂うつ感 … ピンク、薄いオレンジ、黄
イライラ … 緑、青、ピンク
疲労感 … 緑、黄緑、ピンク
冷え … 赤、ピンク、オレンジ
肩こり … ピンク、ベージュ、クリームホワイト
頭痛 … 青、紺
不眠 … 青、青紫、紫
ホットフラッシュ … 水色、青


更年期に見直したい、これからの人生を輝かせる色選び

ユミコ いろいろお聞きしてきて、ますます今の自分に似合う色を追求したくなりました。 

染川 まずはお手持ちの服を見て、どんな色があって、どんな色がないのかを確認してみましょう。意外と持っている服の色に偏りがあるケースが多いんです。グレーが多い、暖色が少ない、黄色がないなど、楽しくチェックしてみてください。そして、次に服を買うときには、自分の持っていない色にチャレンジしてみることをおすすめします。 

いろいろな種類の食材を摂ると体にいいのと同じように、さまざまな色を取り入れると、心身のバランスが整いやすくなります。ご自身の心身のバランスを整えるために、ぜひ色を効果的に活用してみてください。 

ユミコ なるほど…。思い返すと、私のクローゼットのなかは、白、黒、ネイビーの服が多めな気がします。もうちょっとカラフルな色をファッションに取り入れてみるといいのかもしれませんね。 

染川 ご自身が「気になる」「素敵」と感じる色には必ず理由があります。色の持つ作用を、心と体のどちらかが求めていることが多いのです。ベーシックカラーにこだわらず、ご自身の内なる声に耳を傾けて、ぜひピンときた色を取り入れてみてください。 

昔から色は、人を癒やし、元気づけ、痛みを和らげ、活力を与え、優しいお薬のような働きをしてきました。カラーセラピーといって、心身のバランスを整える心理療法があるほどです。私も日々実践していますが、毎日をより健やかに過ごすために服の色を使って心身のバランスを整えることはお手軽でとっておきの方法なのだと、大人世代の皆さんにお伝えしたいです。 

ユミコ 先生のお話を聞いていたら、なんだかこのままショッピングに出かけたくなってきました!私のパーソナルカラーに合う、ピンクのファッションにチャレンジしてみようかな。このウキウキ感も、きっと色の持つ力の一つなんでしょうね。先生、今日はありがとうございました。


<この記事を監修いただいた先生>

染川 千惠 先生
カラー&イメージコンサルタント、株式会社スタイルクリエーション代表
詳しいプロフィールを見る

ユミコ
48歳。夫との2人暮らし。自営業をしながら、自分時間も楽しんでいる。2年半前から足のしびれや股関節の痛み、胃の不調を感じている。生理周期が短くなった影響で貧血や立ちくらみの症状があるほか、動悸や汗も頻発。冷え性もひどくなってきている。

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