更年期におさえておきたい3つのミネラル
更年期には栄養バランスが崩れることも
生きるための栄養素として欠かせないミネラル。厚生労働省で摂取基準を定めているのは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの13種類です。
ミネラルには、体の調子を整えたり、骨や歯を作ったりする働きがあります。日々、体が必要とするミネラルの量はごくわずかですが、体内で合成ができず、また、貯蔵ができないものが多いため、意識的に毎日摂取することが大切です。ミネラルは調理の熱で損なわれにくい特徴がありますので、日々の食事から適量摂取するのが理想的です。
しかし、更年期に疲労や不安、倦怠感、ゆううつな気分などを強く感じると、料理をするのがしんどくなり、なかなか栄養バランスの整った食事を用意することが難しくなることもあります。また料理はできても、胃腸が不調になったり食欲不振になったりといった症状(こちらも更年期の症状)が一因となって必要なミネラルをうまく摂取できないことも起こります。
更年期は女性にとって心も体も大変な時期なので、対策も完璧を目指す必要はありません。まず、「ミネラル不足が起こるかもしれない」ということを覚えておいてください。知っておくことは何よりも大切です。
おさえておきたい、カルシウム・マグネシウム・亜鉛
さて、13もの種類があるミネラルですが、とくに更年期に注目したいものに、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が挙げられます。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を作ります。女性ホルモン(エストロゲン)には、骨量を保つ働きがあるため、更年期以降は骨量が減り、骨の中がスカスカになってしまう「骨粗しょう症」になりやすくなります。カルシウムといえば〝骨″を連想しますが、実は、神経の働きやホルモンの分泌、筋肉の収縮などにも深く関わっています。そのため、カルシウムが不足すると、骨以外の身体のさまざまなところにも影響が出てしまいますので、積極的に摂取しておきたい成分です。
☆カルシウムを含む食べ物
牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、小松菜、ひじき、ししゃも、干しえび、厚揚げなど
更年期世代(40代後半~50代)の女性の推奨量は650mg/日※1です。
カルシウムはビタミンDによって吸収がよくなりますので同時に摂取しましょう。
ビタミンDは魚類やきのこ類に多く含まれています。
マグネシウム
体内に存在するマグネシウムのおよそ50~60%は、骨に存在し、筋肉の収縮、神経情報伝達の制御、体温・血圧調整やカルシウムの吸収を助ける働きをします。丈夫な骨を保つためには、カルシウムとともにマグネシウムもバランスよく摂取する必要があります。
☆マグネシウムを含む食べ物
アーモンド、ゆでたホウレンソウ、クルミ、玄米、海藻類など
更年期世代(40代後半~50代)の女性の推奨量は290mg/日※1です。
亜鉛
亜鉛は、たんぱく質の合成やコラーゲンの生成をサポートします。コラーゲンは、肌のハリ・ツヤや弾力、うるおい、しなやかさを担うため、女性にとって気になる成分のひとつでしょう。コラーゲンは、体内で合成と分解が常に行われていますが、こうした新陳代謝は40代では20代のおよそ半分になるといわれ、紫外線の影響でもダメージを受けてしまいます。
美肌のためには、毎日の食事で肉や魚、豆類など、良質で新鮮なたんぱく質を摂取するとともに、その合成やコラーゲンの生成を支える亜鉛もバランスよく摂取できるとよいでしょう。
☆亜鉛を含む食べ物
牡蠣、赤身の肉、鶏肉、カニ、朝食用栄養強化シリアルなど
食べ物からの摂取が難しいときは、サプリメントを上手に利用しましょう。
更年期世代(40代後半~50代)の女性の推奨量は8mg/日※1です。
ちなみに、大豆には、女性ホルモンのエストロゲンと化学構造式や体内での働きが似ている大豆イソフラボンが含まれていますが、カルシウムとマグネシウムも、バランスよく含まれています。豆腐を作る際に使用するにがりにもマグネシウムが入っていますので、大豆や大豆を加工した豆腐は、更年期によりおすすめの食材です。
前述したように、更年期には、思うように食が進まないことがあります。そんな時は、ミネラルが摂取できるサプリメントを賢く利用してみましょう!ミネラルは他の栄養素と手を取り合ってチームで働きますので、食事の補完として、不足しがちなミネラルを補えるとよいでしょう。
※1 厚生労働省(2020)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」