更年期世代の関節痛をやわらげるセルフケア
忙しい更年期の関節痛は、生活の質に大きく影響します
更年期には、あちこちの関節が痛んだりしびれたりすることがあります。特に手や膝は日常生活で頻繁に使いますので、何かをするたびに痛みを感じたりする生活は、不便さと共に思った以上に強いストレスを感じるものです。
更年期世代に多い関節痛の症状は、関節を支える軟骨や筋肉が衰えたり、女性ホルモン(エストロゲン)の減少の影響によって血行が悪くなったりすることが原因のひとつと考えられています。
関節痛が辛い時期は、できるだけ指先に強い力を加えることや重い荷物を持つことは控えてください。重い買い物は、通販を上手に利用したり、家族や周囲の人に頼んだりしましょう。
更年期に不調が起こるのは、気をつけようがないことです。こんな時は(こんな時「こそ」!)甘えてよいのです。
また、ストレスは、女性ホルモンの減少によって乱れがちな自律神経のバランスをさらに乱してしまいますので、十分な休息やリフレッシュも心がけましょう。
更年期の関節痛と関節リウマチの違い
心配なのは、痛みや違和感の原因が関節リウマチなどの場合です。関節リウマチは膠原病のひとつで、原因はよくわかっていません。
関節リウマチの初期には、起床時に手のこわばりがみられますが、朝のこわばりは更年期の関節痛にもよくみられる症状です。
ただし、更年期の症状の場合は、手を握ったり開いたりしていると、数分ほどでこわばりはおさります。しかし、1時間以上続く場合は、関節リウマチの疑いが高くなります。
関節リウマチは早期治療が重要だといわれていますので、痛みや違和感が強かったり継続したりする場合、「更年期外来」「リウマチ科」「膠原病科」「整形外科」などを受診して、病気が隠れていないかしっかりと確かめましょう。
食事と運動によるセルフケア
血行を促進するビタミンB群を積極的に
レバー、卵、大豆製品、バナナ、牛乳など、ビタミンB群を多く含む食材は、血行を促進してくれます。
また、おなじみの大豆イソフラボンの他にも、モロヘイヤ・カボチャ・アーモンド・アボカドなどビタミンEを多く含む食材は、ホルモンバランスを整える作用が期待できます。
関節痛を和らげる運動を
適度な運動は、筋力を向上または維持し、血行を促進し、更にストレスの緩和にも期待できます。
以下は、更年期世代に限らない、関節痛の予防や軽減に適した運動です。継続してこそ力なり!できる限り毎日続けてくださいね。
手指のこわばり
血行を促進しましょう。
腕を前に伸ばして手をグーに握り、パーに開くという動作を20~30回繰り返します。
☆パーの時は思いきり手を開きましょう
膝の痛み
体を支えるのに必要な筋肉の強化と、ストレッチをしましょう。
【ストレッチ編】
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◆太ももの前側を伸ばす
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①右腕を下にして横たわり、左手で左足の甲を持つ
☆右膝を曲げると体勢が安定します
☆甲まで手が届かない人は、足の甲にタオルをかけて行ってもOK
②左足のかかとをゆっくりお尻に引き寄せる
③左太ももの前側に心地よい張りを感じるところで、10~20秒キープ
☆自然な呼吸を維持しましょう
④反対側(左腕を下にして横たわり、右手で右足の甲を持つ)も同様に、片足につき1~2セット行う
仰向けや正座の状態で紹介されることも多いストレッチですが、柔軟性に自信のない方はこのような横向きがおすすめです。
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◆腰とお尻を伸ばす
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①仰向けになり、両手で膝を抱える
②膝を胸にゆっくりと引き寄せ、心地よい張りを感じるところで10~20秒キープ
☆自然な呼吸を維持しましょう
③①と②を1~2回繰り返す
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◆太ももの裏側を伸ばす
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①右膝を伸ばし、左膝を曲げて座る
②背筋を伸ばし、ゆっくりと上半身を右足の方向へ倒す
☆おへそを太ももに近づけるイメージです
☆自然な呼吸を維持しましょう
③太ももの裏が心地よい張りを感じるところで10~20秒キープ
☆伸ばしている右膝が多少曲がってもOK
④反対側(左膝を伸ばして右膝を曲げる)も同様に行う
⑤左右交互に、1~2回繰り返す
【トレーニング編】
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◇太ももの前側を鍛える(1)
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①両膝を伸ばして座る
②膝の裏を床に押し付けるように、太ももの前側に力をいれる
☆感覚がわかりづらい方は、膝の下にタオルをいれて押すとわかりやすいです
③力をいれたまま5秒間キープし、力を抜く
④②~③を10回繰り返す
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◇太ももの前側を鍛える(2)
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①イスに浅く腰掛け、背筋を伸ばす
☆背もたれにはもたれないようにしましょう
②右膝をゆっくりと伸ばす
☆できるだけ、足が床と平行になるように!
③ゆっくりと元の位置に戻す
④左足も同様に、左右10回ずつ程度繰り返す
☆膝を伸ばした時につま先を顔の方に向けると強度があがります
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◇すねを鍛える
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①イスに浅めに腰掛ける
②右足のつま先をゆっくりと上げる
☆かかとは下につけたままです
③ゆっくりとつま先を下す
④左右の足で、10回ずつ行う
トレーニング中も、力まず、自然な呼吸を保ちましょう。
伸ばす・鍛える部分をきちんと意識し、動作を丁寧に行うことで、簡単な動作でも効果が期待できます。
ジムに通ったり、トレーニング用の器具をそろえたりするのもとても良い心がけですが、身一つでパッとできると「面倒くさい」気持ちが少し軽減され、継続への近道に。
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また、様々なメリットがあるウォーキングも、足に痛みが出てしまい、続かなくなる方が少なくないかもしれません。以下のことを意識すると無理なく継続しやすくなります。
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ウォーキングで気を付けるべき点
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・ストレッチなどのウォームアップで筋肉や腱の柔軟性を高める
・身体が温まるまではゆっくり、様子をみて徐々にスピードをあげていく
・スピードは、痛みが出ない程度に
・最後もスピードを徐々に落としてリラックスして歩きクールダウン
・仕上げに再度ストレッチ
生活の質に大きく影響する関節痛。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少に対して、代わりとなる成分を補うという更年期症状の根本的なアプローチと同時に、続けることが苦痛にならないレベルからで構いませんので、更年期から更年期後も、関節の健康を維持するためのセルケアをはじめましょう!
参考文献
日本女性医学学会 | 関節痛
スロートレーニングとは | e-ヘルスネット(厚生労働省)