耳鳴り・ポコポコ音がするのは更年期?起こる原因と対処方法を解説
更年期になると女性ホルモンの分泌量が減少するため、耳鳴りなどの症状が起こりやすくなります。耳のなかで「キーン」といった音を感じると、不快に感じたり症状の原因が気になったりしますよね。
本記事では更年期の耳鳴りの症状や、症状が起きる原因について解説しています。耳鳴りを予防するための方法や、よくある質問についても解説しているため、耳鳴りに悩んでいる方は参考にしてください。
更年期の耳鳴りの症状とは
更年期の耳鳴りの症状は比較的軽いとされており、1〜6時間程度でおさまる場合がほとんどです。症状の特徴として、周りが静かになると、耳のなかで「サー」「キーン」といった音を感じる人が多いようです。また、めまいと同時に耳鳴りが起きる場合もあります。
更年期症状による耳鳴りは、更年期(45〜55歳)を過ぎれば自然に治まる場合がほとんどです。しかし、症状が精神的な苦痛となり、不安や不眠などの症状が出ることもあります。
更年期とは限らない危険な耳鳴りの特徴
耳鳴りにめまいが伴うような場合は、メニエール病や突発性難聴の可能性があります。
メニエール病とは、聴覚障害(難聴や耳鳴りなど)を伴うめまい発作を繰り返す疾患のことです。耳鳴りなどの聴覚症状を伴う断続的なめまいが数分から数時間続く症状で、発症の原因はよくわかっていません。めまいが起こる頻度は、週に数回や年に数回といったように、個人差があるようです。
突発性難聴とは、突然耳が聞こえにくくなる疾患です。40〜60代の働き盛りに多い症状で、こちらも発症の原因はよくわかっていません。人により症状の重さが異なり、全く音が聞こえなくなる人や、高音のみ聞こえにくくなる人もいるようです。症状の特徴としては、耳が詰まったように感じる「耳閉感」や、耳鳴り、めまいなどを伴う場合があります。
メニエール病、突発性難聴ともに、ストレスや過労、睡眠不足などがあると起こりやすいことがわかっています。日常会話に支障をきたさない場合でも自身で判断せずに、耳鼻科や心療内科などの医療機関を受診するようにしましょう。
更年期に耳鳴りが起こる原因
更年期に耳鳴りが起こる原因には、以下のようなものがあります。
●女性ホルモンの分泌量減少によるゆらぎ
●過労や心労によるストレス
女性ホルモンの分泌量減少によるゆらぎ
更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少して、自律神経のバランスに乱れが生じます。すると感覚器官が影響を受けて、めまいや耳鳴りなどの症状が起こりやすくなるとされています。
また、加齢による感覚器官の不調も耳鳴りの原因のひとつです。難聴などにより音が聴こえにくくなると、脳は音の不足を補う目的で、本来ない音を作り出してしまいます。その音が耳鳴りとして発生して、耳のなかで「サー」「キーン」といった音を感じると考えられています。
過労や心労によるストレス
更年期は、周りの環境が変化しやすい時期でもあります。子どもの受験や就職、親の介護や老後資金の問題など、心配事や不安が耳鳴りの症状を引き起こす場合があります。また過労や心労によるストレスは、睡眠不足にもつながるため、自律神経のバランスが乱れて、さらに症状を悪化させる可能性があるのです。
耳鳴りなどの更年期症状を予防するためにも、頑張っている自分を認めて、家事や仕事のペースを落としてみてはいかがでしょうか。
更年期の耳鳴りに対する予防と対策
更年期の耳鳴りに対する予防や対策を行う場合は、以下のような方法があります。
●精神安定剤などを用いた薬物療法
●幸福感の増大を促すリラクゼーション法
●塩分を控えるなどの食事療法
●当帰芍薬散などの漢方薬の服用
精神安定剤などを用いた薬物療法
耳鳴りの症状は、精神的なストレスや睡眠不足が原因の場合もあります。また、耳鳴りの症状が精神不安の原因となる場合もあるようです。これらの症状には、精神安定剤や睡眠薬を用いた治療が有効とされています。
ただし更年期にうつ病を発症する人もいるため、精神的な症状が日常生活に支障をきたしている場合は、精神科などで医師の診察を受けるようにしましょう。
幸福感の増大を促すリラクゼーション法
リラクゼーション法とは、血圧の低下や幸福感の増大を促して、リラクゼーション反応を引き起こすものです。
身体的な感覚に意識を向ける「自己訓練法」や、ゆっくりと深く落ち着いて呼吸することに集中する「深呼吸法」など、さまざまな方法があり、耳鳴りの症状や精神的苦痛を軽減する効果が期待できます。治療を目的としてリラクゼーション法を利用する場合は、短期間では成果が出にくいため、定期的かつ頻繁に行うようにしましょう。
塩分を控えるなどの食事療法
耳鳴りの症状は、女性ホルモンの分泌量低下や、塩分の摂りすぎによる高血圧が原因とされています。そのため、食事のメニューを見直すことで、症状の改善が期待できるのです。
症状の予防・緩和を目的とする場合は、ビタミンB12や大豆イソフラボンの摂取が有効とされています。ビタミンB12は牡蠣やあさり、鯖などから摂取可能です。また大豆イソフラボンは、納豆や豆乳などの大豆食品から摂取できます。醤油や味噌にも大豆イソフラボンは含まれますが、塩分が多い食品なので注意が必要です。日々の食事での摂取が難しい場合や塩分が気になる場合は、サプリメントなどで補うことをおすすめします。
当帰芍薬散などの漢方薬の服用
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や、七物降下湯(しちもつこうかとう)など漢方を服用することにより、耳鳴りの症状が軽減されることがわかっています。特に七物降下湯は、高血圧に伴う症状に有効とされているため、耳鳴りだけでなく、のぼせや肩こりなどの更年期症状が出ている方にもおすすめできます。
更年期の耳鳴りに関するよくある質問
ここからは、更年期の耳鳴りに関するよくある質問へ回答していきます。
更年期の耳鳴りはいつまで続きますか?
1〜6時間程度でおさまる場合がほとんどで、まれに24時間程度続く場合もあります。症状が長引く場合や、重いと感じる場合は、早めに専門の医師による診察を受けたほうがよいでしょう。
更年期の耳鳴りではどんな音が聞こえますか?
周りが静かになると、「サー」「キーン」といった音を感じる人が多いようです。
耳鳴りは放っておいても大丈夫ですか?
メニエール病や突発性難聴などの疾患が懸念されるため、耳鼻科、神経内科などの医療機関の受診をおすすめします。更年期が原因でなかった場合は、早めに治療を開始しないと症状の回復が遅れる場合があるからです。
日々の食生活を見直して耳鳴りを予防しよう
更年期になると女性ホルモンの分泌量が減少することから、耳鳴りなどの症状が起こりやすくなります。また、周りの環境が変化しやすい時期でもあるため、日々の心配事や不安がストレスとなり、耳鳴りの症状を引き起こす場合もあります。
症状の緩和や予防を行う場合は、生活のなかでリラックスできる時間を設けるほか、ビタミンB12や大豆イソフラボンを日々の食事で摂取するとよいでしょう。耳鳴りなどの更年期症状は、いつまでも続くわけではありません。更年期には必ず終わりがあるため、症状が軽くなるように、できることから少しずつ始めていきましょう。