クランベリーで膀胱炎予防!その効果や理由を解説

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膀胱炎に悩む人にとって、症状の改善や予防は大きな関心事。膀胱炎の予防には様々な方法がありますが、注目を集めているのがクランベリーの効果です。では、なぜクランベリーが膀胱炎の予防に役立つのでしょうか? 本記事ではクランベリーの効果や膀胱炎に効く理由を解説します。膀胱炎の予防に興味がある人はぜひ参考にしてください。



膀胱炎とは?

細菌が尿道から侵入して膀胱で繁殖すると、細菌性膀胱炎になることがあります。その原因菌はほとんどが腸内細菌で、そのなかで最も頻度が高い菌種は大腸菌です。細菌性膀胱炎には「単純性膀胱炎」と「複雑性膀胱炎」の2種類がありますが、一般的に知られているのは単純性膀胱炎。複雑性膀胱炎は、糖尿病や帯状疱疹、膀胱結石(ぼうこうけっせき)など他の病気が原因で発症するため、原因となる病気の治療も一緒に行う必要があります。

今回は女性に多い単純性膀胱炎の症状や原因について説明します。


膀胱炎の症状

細菌によって膀胱で炎症が起きると、膀胱内の粘膜が赤く腫れます。尿には塩分が含まれているため、炎症を起こした粘膜に尿が触れて刺激になることで排尿時に痛みが出る、炎症が神経を刺激して尿がそれほど溜まっていないのに尿意を感じて頻尿になる残尿感や血尿が出る、といった症状を引き起こします。


膀胱炎の主な症状

排尿時痛
頻尿
残尿感
尿臭
血尿


膀胱炎だけでは発熱することはありませんが、炎症が他の尿路臓器に波及し、急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)、急性前立腺炎(きゅうせいぜんりつせんえん;男性のみ)、急性精巣上体炎(きゅうせいせいそうじょうたいえん;男性のみ)などの病気に発展した場合には、38℃を超える高熱が出て重症化することもあります。

膀胱炎は初期であれば水分を多めに摂取すると改善することもありますが、症状がつらい場合には泌尿器科などを受診すると良いでしょう。


なぜ膀胱炎になるの?

膀胱炎を引き起こす原因は、免疫力の低下や尿意の我慢など様々。膀胱炎を予防するためにも、その原因を知っておきましょう。

●免疫力の低下

睡眠不足やストレス、冷え、自律神経の乱れなどが続くと、免疫力が下がり、膀胱内に侵入した細菌の繁殖を抑えられなくなって、膀胱炎を招きやすくなります。

●性交や生理

性交した後に排尿せずにそのまま寝る、生理用品をこまめに交換しない、など不衛生な状態では細菌が繁殖しやすく、膀胱炎を招くリスクが高くなります。もともと女性は尿道と膣、肛門の位置が近く、男性より尿道も短いため細菌が入りやすい上、更年期障害でデリケートゾーンの防御機構が弱まるほか、尿失禁などで不衛生になりやすいため、膀胱炎を発症する人が少なくありません。

●尿意を我慢する

通常、尿意を感じたときにこまめに排尿していれば、尿とともに細菌が排出されますが、尿意を我慢し過ぎると膀胱に細菌が入って繁殖しやすくなり、膀胱炎を引き起こすことがあります。

●閉経や加齢

閉経による女性ホルモンの変化によって、自浄作用を持つ膣内細菌が減って膣内環境がアルカリ化することで、大腸菌に代表される細菌が増殖。その細菌が膀胱に侵入することで、膀胱炎になりやすくなります。中高年女性はさらに疲労などの影響もあり、再発を繰り返したり慢性化したりすることがあります。

●便秘

腸内に便が長く留まると、大腸菌などの腸内細菌が増殖するため、膀胱炎のリスクが高まります。

●残尿が多くなるような病気

膀胱結石や前立腺肥大症のほか、糖尿病や子宮全摘手術、帯状疱疹などから神経因性膀胱になることで、残尿が増え膀胱炎を発症することがあります。また、風邪薬(抗コリン作用があるもの)や花粉症向けの抗アレルギー薬などの服用で残尿が増え、膀胱炎を引き起こすことも。



再発しやすい膀胱炎の予防には、クランベリーがおすすめ

生活習慣やホルモンの変化など、様々な原因によって起きる膀胱炎。その予防策として、クランベリーが注目されています。ここでは、なぜクランベリーが膀胱炎予防につながるのかを解説します。


クランベリーの効能

クランベリーには、ポリフェノールの一種「プロアントシアニジン(A型)」と有機酸の一種「キナ酸」という2つの有効成分が含まれています。

A型のプロアントシアニジンには、膀胱の上皮細胞に大腸菌が侵入するのを抑制する働きがあります。一方のキナ酸は、体内で吸収されると肝臓で馬尿酸に代謝され、尿のpH値を下げます(尿の酸性化)通常、膣や尿は弱酸性に保たれており、尿がアルカリ性に傾くと大腸菌が繁殖しやすい環境になってしまいますが、馬尿酸が尿を酸性化することで大腸菌を繁殖しにくくしてくれるのです。

クランベリーは、ベリーのなかでもプロアントシアニジンとキナ酸を豊富に含む稀有な果物。食生活にクランベリーを取り入れることで、膀胱炎の予防や繰り返す膀胱炎の再発を防ぐことが期待できます。


クランベリーは高濃度果汁がおすすめ

膀胱炎の予防が期待できるクランベリーの有効成分。何を基準に選べばいいのでしょうか?

有効成分のプロアントシアニジンやキナ酸を効率的かつ効果的に摂取するためには、65%以上の高濃度のクランベリー果汁飲料がおすすめです。というのも、65%のクランベリー果汁飲料を1日1回摂取することで、膀胱炎の再発を抑制する効果があることが日本国内での臨床試験結果で報告されていて、その内容が感染症治療ガイドラインにも掲載されています。

1日あたりの目安量として、果汁65%なら125mL程度、 100%果汁では80mL程度の摂取が推奨されており、同様の果汁が配合されたゼリータイプの商品も販売されています。ジュースのような液体が飲み込みにくい人は、ゼリータイプが良いでしょう。

もしクランベリーの酸味が気になる場合は、水や炭酸水、他の果汁飲料などで割ったり(約1:1の比率)、ハチミツを加えたりすると、酸味が抑えられ飲みやすくなります。また、有効成分をサプリメントで手軽に摂る方法もあります。

商品を選ぶ際は、商品パッケージや販売元のホームページをチェックして、ポリフェノール(プロアントシアニジン)とキナ酸の量が豊富に含まれているかどうかをぜひ確認してみてください。


クランベリーがおすすめの人

クランベリーは膀胱炎予防に効果があるため、日ごろから対策をしておきたい人に最適です。また、クランベリーは膀胱炎の症状を緩和するものではありませんが、膀胱炎を繰り返す人も再発予防として取り入れると良いでしょう。

さらに、膀胱炎を含む尿路感染症によって尿臭が強くなってしまった人のほか、クランベリーにはアルカリ性の結石が尿中に析出(せきしゅつ;液体から固体が分離して出てくる)することで発生してしまう尿道カテーテルへの結石付着を抑制する効果も確認されているため、寝たきりで尿道カテーテルを装着していて、結石でカテーテルが詰まりやすい人にもおすすめです。

果汁を用いたジュースなら、年代を問わず飲みやすく、日頃の膀胱炎対策にもぴったりです。



クランベリー以外で膀胱炎を予防する方法

膀胱炎の予防策は、クランベリーだけではありません。他の方法もあわせて取り入れることで、より効果的に予防することができます。 その具体的な方法をご紹介しましょう。


水分を多く摂る

膀胱炎の予防には、尿とともに大腸菌を体外に排出するためにも、正しい飲水習慣をつけることが大切です。飲水量の目安は体重の2.0~3.0%程度、すなわち体重×20~30の量(体重50kgの人であれば1,000~1,500mL)を飲むよう心掛けてください。運動したり汗をかいたりしたら、その分多めに飲むようにしましょう。水分摂取は便秘予防にもつながります。水分がきちんと摂れているかどうかは、尿の色をチェックして薄い色であればおおむね問題ありません。

また、膀胱炎になった際も、できるだけ水分を多めに摂って塩分濃度の薄い尿にしたほうが、排尿時の痛みや残尿感が緩和されます。


免疫力を高める

免疫力が下がると、膀胱内に細菌が繁殖しやすくなり膀胱炎を招くリスクが高まります。睡眠や生活習慣を改善し、免疫力を高めましょう。体温が低いと免疫も落ちるため、体を温めることも大切。また、笑うことで免疫が上がるという報告もありますので、日ごろからストレスを溜めないことも重要です。


デリケートゾーンを清潔に保つ

デリケートゾーンを清潔に保てるように、性交後は排尿する生理用品やパッドは汚れたらこまめに交換する、排泄後は大腸菌が外尿道口に付かないよう前から後ろに拭くビデの水流を強くしない、などを意識しましょう。

また尿意を我慢せず、トイレには適時に行くようにしてください。



まとめ

膀胱炎の症状で悩んだ場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。膀胱炎には他の病気が隠れていることがある(複雑性膀胱炎)ため、医師は診断する際に尿検査や尿培養、超音波検査などを行い、生活習慣改善の提案や抗生剤の投与による治療をします。膀胱炎の原因となっている他の病気が見つかった場合は、その治療も行います。

単純性膀胱炎を繰り返す場合は、再発予防のために生活習慣の見直しが大切です。あわせて有効成分をしっかり摂取できる高濃度クランベリージュースを加えてみるのも良いでしょう。果汁65% 以上の高濃度クランベリージュースを選べば、より効果を感じやすいはずです。


<この記事を監修いただいた先生>

鈴木 基文 先生
キッコーマン総合病院泌尿器科主任部長
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